ポンポンを持った『キンチャクガニ』飼育方法・餌・イソギンチャクなど
キンチャクガニの飼育方法・餌・生態など
『ボクサークラブ』『ポンポンクラブ』とも呼ばれる『キンチャクガニ』
そのあまりにも個性的な生態から「飼育してみたいっ!」と思う方も多いかと思います。
今回は実際に長期飼育してのポイントなども押さえつつ…飼育方法をご紹介したいと思います。
キンチャクガニ・飼育方法
適正水温:
22~25℃
エサ:
微生物・人工飼料
混泳:
甲殻類を食べる魚類とは不可。同種の複数飼育も争う事が多い。
大人しく、生活圏が被らない魚類との混泳は可能
(ただし小型で動きの遅い魚は襲われる可能性あり?)
サンゴとの同居も可能。
餌付け難易度:低
微生物を食べるが、人工飼料にも比較的簡単に餌付く。
両手に持つイソギンチャクはファッションではなく『武装』
こんなものをフリフリしても効果がなさそうに思えるが、天敵であるタコ類には絶大な効果を発揮するそうな。
ネット通販などで購入する場合、イソギンチャクを片方しか持っていない場合があるので注意。
水三輪的な飼育情報
もはや可愛いを通り越してバカっぽい姿の『キンチャクガニ』
えいやーえいやーとイソギンチャクを振って踊る姿は、威嚇というよりもウケ狙いにすら見えます(笑)
両手を突き出して威嚇する姿から『ボクサークラブ』とも呼ばれるそうですが、私の目にはどう見てもボクサーには見えません。
そして『ポンポンクラブ』などという情けない名前でも呼ばれています。もちろん理由は手にポンポンを持っているように見えるから。
このイソギンチャクを押し付けて、刺胞毒によって麻痺させた生き物を食べる…という話がありますが、残念ながら明確にそういう動きを見た事はありません。いつももらった餌を食べています。
注)これまで何匹か飼育してきて、ベントス系の小型魚(カニハゼや小型ブレニー)がキンチャクガニに食べられている…という姿を数回目撃しています。
襲って食べたのか、死骸を食べていたのかは分かりませんが…一応そういう姿を何度も見ているよ、という事だけ。
エサと食べ方
与えるエサは普通に売っている人工飼料で問題なしです。
餌付けは容易で、口に入るサイズであれば基本的になんでも食べます。ちょっと大きいサイズでも、口にくわえて食べてくれたりもします。
私の飼育経験でよく食べたのは『ひかりエビ』と…
『ミニキャット』になります。
どちらも淡水魚用の餌ですが、コレだけでなく海水魚用の餌も喜んで食べますので、イロイロ与えてみるのが良いかと。ちなみにライブロックや底砂から顔を出すようなゴカイ類も捕まえて食べています。
さてさて…キンチャクガニを知ってしまった方が避けて通れない最大の疑問は…
「その状態で、どうやってエサ食べるの!?」
…だと思います。
そりゃあ人間だって常に両手にイソギンチャク持ってりゃ、ご飯なんか食べられません。というか四六時中イソギンチャクを持っていたら仕事すらできません。
このキンチャクガニのエサの食べ方について、あれこれ調べてみると…
『いったんイソギンチャクを置いて、エサを食べたら再び持つ』
という情報が多いのですが、私の飼育環境下では1度もそういった食べ方を見た事はありません。
じゃあどうやって食ってるのか?と言いますと…
ただあっちを向いているだけに見えますが、これ…食事中です。
キンチャクを持った状態のまま、どすんと腰を下ろし、器用に脚でエサをたぐりよせて口へ運んで食べています。
どうも『キンチャクガニは食事の時、いったんイソギンチャクを置いてエサを食べる』という情報は、実際にはキンチャクガニなど飼育した事もないクセに、広告収入目当てで運営しているような「偽アクアリストブログ」に多い気がします。
もちろん自然環境下ではそういった食べ方をするのかもしれませんし、飼育環境やエサの種類、個体差などで違うのかもしれません。しかし私が過去に飼育したキンチャクガニは全てこの食べ方(イソギンチャクを持ったまま脚で食べる)でした。
ネット上でよく目にする「シャコがいると水槽のガラスを割られる」というネタもそうなのですが、実体験に基づかず、よそで聞いただけの情報をさも自分の知識のように広めたがる人は多いですからね…。
いやいや、決して「イソギンチャクをいったん置く」が嘘だと言っているわけではないんですよ。
なおイソギンチャクが片方だけになったキンチャクガニは、空いているほうのハサミを食事に使用することが多くなります。
習性・性格
さてさて、気になる彼の性格はと言いますと…イソギンチャクで武装していますが基本的にはカニらしく慎重。
カニ類は隠れる種類が多いですが、キンチャクガニも見えない位置に隠れている事が多くなります。
ライブロックなどの隠れる場所が多い水槽の場合、水槽投入後1週間くらいはほとんど姿を見せてくれなかったりも…。
しかしあくまでも『肉食のカニ』だという事は忘れないで下さい。環境に慣れてくると、情けない見た目とは裏腹にアグレッシブな動きを見せたりしますので、同居させる生き物には注意が必要です。
他のカニ類と同様、エサをもらえることを覚えると少しづつ人に慣れてきます。
3ヵ月ほど飼育した頃にはエサの時間になるとイソギンチャクを振りながら水槽の前のほうにきてくれたりもしました。
もし「買ってきたキンチャクガニが全然姿を見せてくれないよう!」という事があっても、水質などの環境がしっかり問題ないのであれば余計に気にしすぎず、じっくり焦らず慣れてくれるのを待ちましょう。
イソギンチャク
キンチャクガニが持っている大事な大事な武器である、イソギンチャク。
このイソギンチャクの名称は『カニハサミイソギンチャク』と呼ばれており、その名の通り「カニに挟まれた状態」がデフォルトです。
そりゃそんな名前で生まれてしまったら、もうカニに挟まれるしかないでしょう。
私だって『中華 麺太郎』なんて名前で生まれていたら、今頃はどこかでラーメン屋をやっていたと思いますし、『乳山 フェチ太郎』という名前だったら、今頃おっぱいフェチだったに違いありません。
ちなみにキンチャクガニが生まれてから、どの成長段階で、どの場所から、このイソギンチャクを見つけてくるのかは謎だそうです…。
そしてこれが現在飼育しているキンチャクガニが装備しているイソギンチャクなのですが…どうも他の写真で見る『キンチャクガニが持っているイソギンチャク』と色も形も違うような気がするんですよね…。過去に飼育したキンチャクガニとも異なる気が。
先ほども書きましたが、購入したキンチャクガニが片方しかイソギンチャクを持っていない…というケースもあります。そして飼育している最中にイソギンチャクをなくしてしまう事もよくあります(笑)
私も過去に片方だけしか持っていないキンチャクガニを飼育していたことがあります。いつの間にか、その1つのイソギンチャクも無くなっていました(笑)
それでも問題なく、何も持っていない手をフリフリしながら飼育できていたので…
イソギンチャクがないと死ぬ
というわけではないようです(笑)
なお、2017年に…
『イソギンチャクを1つ失ったキンチャクガニは、その残ったイソギンチャクを2つに割いて持ち、それぞれが再生することでダブル持ちになる』
という研究結果が発表されたそうですが、そのへんはわかりません。ウチのは割いて2つにするような事はありませんでした。
キンチャクガニの飼育方法・まとめ
カニ類は比較的丈夫で飼育が容易な種類が多いですが、キンチャクガニも飼育難度はそれほど高くはありません。
身体が小さく、派手に動き回る事もないので小型水槽でも飼育可能ですし、特別な設備も必要ありません。(ただし、ろ過装置はしっかりしたモノを)
甲殻類ですので水質変化には敏感な部分がありますが、それでも神経質にならねばならないほどではありません。
海水水槽ビギナーでも、しっかり基本を押さえていれば飼育は十分に可能な生物です。
ただし、慣れるまでは隠れがち…という部分だけ大目に見てやってください。
「どこか調子悪いのかな?」「何かダメなのかな?」と焦っていろいろイジったりレイアウトを変えたりしているといつまでたっても慣れてくれなかったりしますし、生き物にも悪影響です。
流通量は決して多いとは言えませんので、近所のショップなどでは売っていない事が多いかもしれませんが・・・ネット通販を利用できるのであれば、それなりに購入の機会がある生き物になります。
ぜひ一度は飼育していただきたいオススメの面白いヤツですよ。