生きた化石『カブトガニ』飼育方法・エサ、底砂、注意点など

誰もが一度は聞いたことがあるであろう『カブトガニ』の飼育方法、食べるエサや水槽の種類、底砂、飼育上の注意点などを実際の飼育経験に基づいてご紹介します。『生きている化石』とも称され水族館などで見かけるカブトガニですが、なんと一般家庭の水槽でも普通に飼えるんですよ、コレ。

ただし長期飼育は相当の覚悟が必要ですけど…。

カブトガニの飼育方法

カブトガニ

適正水温:
25℃前後
種類によって差あり

食べるエサ:
貝類・剥きエビ・ゴカイ・クリル・イカ・小魚、等々
好みは個体差あり
けっこう食にうるさい

餌付け難易度:中
エサを食べる活動時間が限られているので、カブトガニの行動に合わせて給餌する必要あり。

混泳:可だが要注意
水槽の環境によっては海水魚等との混泳も可能だが、同居する生物によっては注意が必要。
レイアウトの関係上でも単種飼育が望ましい。
(同種の複数飼育は可能)

飼育難易度:中の上
一般的な海水魚飼育とは環境が異なるので、専用の水槽を立ち上げる必要あり。
「クマノミ飼ってる水槽に入れちゃえー」的な考えは愚かの極み。

水三輪的な飼育情報

その知名度の高さと魅力的なルックスから「飼ってみたい…」と思う方も多いであろう『カブトガニ』

まず最初に申し上げておきますが、

飼育は難易度高めです。

とは言え、それは飼育環境を作る際の話。

一般的な海水魚飼育とは異なる環境(厚く細かい底砂、できればライブロック等は入れずに広い底面積を確保、etc…)が必要で、エサやりにも配慮が必要なためです。

しっかり適切な環境を作り、エサやりのコツさえ掴んでしまえばあとは非常に丈夫で飼育は簡単。

しかし理想的な環境で飼うと、

…思ってたのと違う。

となってしまう生き物だったり。

その2点について詳しく掘り下げつつ、項目ごとに実際の飼育経験に基づいた情報をご紹介していきます。

注!
カブトガニは現在4種(カブトガニ・マルオカブトガニ・ミナミカブトガニ・アメリカカブトガニ)が存在し、それぞれ性質が若干異なるようです。種類の差により、当記事で紹介している性質・飼育情報等が当てはまらない場合もありますのでご注意下さい。

飼育環境・水槽

大きくなれば50cm以上、種類によっては最大で80cmを超えることもあるカブトガニですが、ショップ等で購入する際は『背甲の直径が3~6cm程度』でお迎えするのが一般的。まずはそのくらいの大きさのカブトガニを飼育するという前提で、水槽セッティング・環境についてご説明します。

水槽は他の生物同様、大きいに越したことはなし。とりあえず小型(幼体)のカブトガニ単独であれば30cmキューブでも飼育は可能ですが、1回の脱皮ごとに予想以上に大きくなるので最低でも45cmは用意したいところ。それでも飼育しているうちに狭くなります。

それほど水深は必要ないので、最近出回ってきているオシャレで浅い水槽でもOKですぞ。

カブトガニを飼育するうえで最も大事なのは底面積と底砂になります。

大事に長期飼育したいのであれば…

パウダー~中細目(1~2mm程度)の底砂は必須。

砂目はできるだけ細かいほうが望ましく、理想はパウダーサンド。中細~細目のサンゴ砂でも飼育は可能なようですが、試したことはありません。

カブトガニはどこにいるのかわからないほど完全に潜るのが好きなので、底砂は厚めに。潜り方にクセがあり、カブトガニの厚みと同程度ではすっぽりと潜れません。小さな個体でも最低3cm、将来を考えれば5~6cmは敷いてあげたいところ。

パウダーで5cmなどと聞くと条件反射のように「硫化水素!硫化水素!」と騒ぎ立てる輩も多くいますが、カブトガニの底砂攪拌能力はモンスター級。とにかく深く激しく毎日かき混ぜまくるので、少々厚く敷いても全く問題ありません。

砂に潜るカブトガニ

このように、完全に潜っている状態がカブトガニ飼育のデフォルト
(撮影用水槽なのでライブロックが入っていますが、カブトガニにライブロックは必要ありません)

活動時間以外はまったく動かず、じーっと砂中で休んでいるほうが長いのです。

似たルックスで同じように砂に潜って生活する『オニヒメブンブク』がいますが、カブトガニはオニヒメブンブクよりも長く潜りっぱなし。

飼育環境によっても行動は変化しますが、活動が活発な時期であれば日に3~4回会える程度

活動に波があるため、日によっては全く会えないことも珍しくありません。

そして理想的な環境で飼育を続け、徐々に大きく(殻幅7~8cmを越えたあたり)なってくると夜行性の性質が強くなり、昼間は出てきません。

これが『思ってたのと違う』の理由。

そう、オニヒメブンブクの飼育方法でも同じような事を言いましたが、カブトガニも飼育しているのに、ほぼほぼ会えないのです(笑)

なおライブロックは生物ろ過やゴカイ類を目的とするならば入れても問題ありません。ただし入れすぎず、底面積を広くする事を意識しましょう。

カブトガニの餌

自然環境下でのカブトガニはゴカイなどの小動物を捕食して食べていると言われています。

水槽飼育の場合でもメガバイトなどの乾燥エサには餌付かず、食べるとされているのは『アサリのむき身』『エビのむき身』『乾燥クリル』『釣りエサ用のゴカイ』『海藻類』などなど。
(ただし飼育経験上、海藻類は一度も食べませんでした)

『イカの切り身』は入手も簡単で与えやすいので、もし好むようであれば便利です。

↓『カブトガニのエサやり』動画公開中↓

カブトガニは意外にグルメなので、成長に応じて食の好みが変わったりします。

うちのカブトガニも小さな頃はイカを喜んで食べていましたが、大きくなったらこっちのほうを好むようになりました。

生白魚

生の白魚です。おいおい、わしが喰いたいっつーの。

これはかなり好きなようで、白魚を何度か与えた後にイカの切り身を与えるとブン投げて全く喰わなかったりも…(汗)

エサを与える際のポイントは、カブトガニがエサ探し活動をしている時に与えること

カブトガニは一日のうちエサを探して活動する時間が決まっており、砂に潜って動かない時に無理矢理与えようとしても「あ、エサだ!」とはならず、嫌がって食べません。『食いたい時・食いたくない時』が明確なので、彼らに合わせた給餌が必要になってきます。

話によるとカブトガニは潮の干満に合わせてエサを探す(干潮時)らしく、水槽飼育を始めた最初の頃はエサ探し行動が約1時間づつズレていく(今日22時に出てきたら、明日は21時、その次は20時)という事がありますが、飼育しているうちに『暗くなったら出る』に変わるパターンが多いです。

砂の上を這いまわっているならばルート上に置いてやり、少し潜った状態でモゾモゾ動き回っているならば少し砂に埋めるように。与えたエサに重なったところでしばし停止しているようならば食べている証拠。

食べ終わってもまだ探しているようならば追加で与え、十分食べて満足すると深く潜って再び休み始めます。

『泥状の底砂の中にゴカイがたくさん繁殖しているような環境』を用意することができれば理想的で、あまり砂の上に出ずに砂中で勝手にゴカイを食って暮らしてくれたりします。

ちなみにカブトガニの口はココ。

カブトガニの口

わしゃわしゃ生えている脚の付け根、中心部が口になります。

どうですかこのルックス、ヤバいでしょう。表向きはスベスベのルンバのようで可愛いカブトガニも、裏を返せばまるでエイリアンでキモい野郎なのですよ。

普段は素朴な笑顔で「午後も頑張って下さいね」などと言ってくれる弁当屋のあのコも、裏を返せばホスト狂いのビッチなのと同じです。私の勝手な想像ですけど。

水温について

飼育経験もないクセにネットの情報をパクッて記事を増やすインチキアクアリウム情報サイトでは、大半のところで『カブトガニは高水温に弱い』と書かれています。一旦メジャーなところでそう書かれるとコピペされて増えていくのがアクアリム系の困ったところ。

まぁたしかにアクアリウム、特に海水生物は、全ての生き物を実際に飼育していったら大変ですからねぇ。…ええ、ホント大変なんですよ。
(『水槽抱えて三輪車』で紹介している生き物は全て私自身がリアルに飼育し、写真も自分で撮影しています)

あくまで個人の見解ですが、カブトガニは『高水温に弱い』という印象はありません。真夏に28℃以上の水温が続いてしまった時でも、全く問題なく元気でした。

ただし水温に対する耐性は種類による差が大きいようですし、私の意見が絶対正しいという保証もありません。夏場はエアコンによる室温管理もしくは水槽用クーラーを使用したほうが良いでしょう。死んだから責任取れ、とか言われても困りますし。

そして低温のほうですが、水温が16~18℃以下になるとカブトガニは砂に潜って冬眠してしまうそうな。
(これも種類によって水温に差があるようです)

同じく冬眠する生き物代表でもあるカメは、正しく冬眠させて飼育したほうが健康的に育つという話ですので、カブトガニも冬眠を経たほうが長期飼育できそうな気もするのですが・・・失敗が怖いので試したことはありません。

カブトガニの行動

カブトガニは1日のほとんどを砂に潜った状態で過ごします。

水族館やショップではベアタンク、もしくは薄い底砂で飼育されていたりしますが、それはあくまで見る人を優先しているため。砂にしっかり潜れないというのはカブトガニにとってストレスがかかる環境です。

飼ってても見れなきゃ意味がない!…と思うのはごもっともですが、少しでも長く健康的に生きてもらうために底砂は細かいものを厚く敷きましょう。どうしても頻繁に観察したい場合、可能であれば3~4匹飼育することで会える機会がグッと増えますぞ。

そしてなにげにカブトガニは泳げます

タイミングが合わないうえに被写体ブレでまともな写真が撮れていないのですが、泳ぐ時はなんとひっくり返って背泳ぎなんですぞ、コイツ。そのうち写真or動画撮影ができたら載せておきます。

カブトガニの脱皮

カブトガニは甲殻類のように脱皮をして成長します。

脱皮が近くなると砂に潜ったまま全く出てこなくなり、そのまま砂中で脱皮。脱皮殻を砂の上に残し、甲羅が硬くなるまで再び全く出てこなくなります。

おそらく個体差や環境差があると思いますが、脱皮前と脱皮後を合わせ、その期間は長ければ一ヵ月以上。

成長するにつれて期間は長くなるので、なーんも変わり映えしない水槽をただただ水替えして維持する…という状況になったり。

そしてカブトガニは一回の脱皮で、

一回の脱皮で約1.3倍に成長します(驚)

これはウチのカブトガニ4号が四度目の脱皮をした際に、殻を並べた写真。

カブトガニ脱皮の記録

尾剣(尻尾)の曲がりもなく、順調に成長していっているようです。

最初の頃は小さくて可愛いですなぁ。この頃は昼間も活動していたので、エサを与えてコミュニケーションをとることが可能でした。

・・・が、今はもう深夜にしか活動しないので数ヵ月くらい顔を見ていません。

ただ砂だけが入った水槽を管理し、朝に砂の上に残っているウ〇コを片付けるだけの毎日です。

カブトガニ飼育方法・まとめ

上からカブトガニ

カブトガニの飼育におけるポイントをざっくりとまとめると…

  • 底砂は必須。理想はパウダー、粒は最大でも2mm程度
  • 底砂は厚さも大事。しっかり全身が潜れる厚さで。
  • ただしそうするとあまり会えなくなる(笑)
  • 脱皮すると予想以上に大きくなるので、水槽サイズには余裕を。

…といった感じ。

一般的な海水生物とは若干異なる環境が必要なため、現在稼働している水槽に追加投入…といったやり方では少々難しいですし、金魚のように『人間の都合でパラパラとエサを入れて終わり』というわけにもいかないため、少々手間がかかります。

しかしそこまでしてでも飼う価値のある、可愛い生き物ですぞ。

ちなみにこの写真で左右の目のように見える部分が複眼、前のほうにある鼻の穴のように見える部分が単眼。

カブトガニは「カニ」と付くクセに甲殻類ではなく、虫と同じく節足動物。クモに近い生き物だそうで。しかし甲殻類のように脱皮し、冬眠までするという・・・なんなんでしょうね、コイツ。

生きた化石『カブトガニ』飼育方法・エサ、底砂、注意点など”へ2件のコメント

  1. マロン より:

    お久しぶりです!

    驚きました。カブトガニって飼えるんですね!
    いやまさか幼少期にテレビや図鑑でみていた私としてはカブトガニの飼育というと、家にアイドルが来るようなものでして、興奮しながら読ませて頂きました。
    しかし、まさか裏側がそんなことになっていたとは…それもまた興奮がありました。
    背泳ぎ楽しみにしています!

    1. 灰犬 より:

      お久ぶりですー。
      相変わらずマスクを強要される生活が続いていますが、お変わりありませんでしたか?

      そう、カブトガニが飼えるってヤバいですよね!
      私も幼少からの憧れだっため、初めて飼育した時は興奮しすぎて新たな性癖に目覚めそうでした。
      甲殻類好きならば『カブトガニ』『ダイオウグソクムシ』の飼育は憧れますよねぇ(カブトは甲殻類じゃないけど)。

      相変わらずエサを食う時以外は潜りっぱなしなので機会がありませんが、背泳ぎ撮影を狙っておきます!

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