『オトヒメエビ』飼育方法・餌・混泳など…
大型のハサミが魅力的な『オトヒメエビ』 注意点はそれなりにあるものの、飼育そのものは容易で初心者にもオススメの甲殻類になります。飼育方法・食べる餌・混泳の不可など、実際に長期飼育した経験も含めて飼育方法などをご紹介。
オトヒメエビ・飼育方法
適正水温:
25℃前後
食べる餌:
人工飼料・活小魚・冷凍エサ・微生物・他
混泳:
小さい魚類は捕食する場合があるので、避けれたほうが安心(絶対に不可ではない)
オトヒメエビを食べてしまうような大型魚とは不可。
同種同士はペアになっていれば可能だが、それ以外は激しく争う。
餌付け難易度:中
環境が適切であればなんでもよく食べる。一度に食べる量は少なめ。
飼育難易度:低
混泳と水槽サイズに注意すれば、丈夫で飼育は容易。
水三輪的な飼育情報
他のピコピコしたエビ類とは一線を画し、攻撃的&ワイルドなルックスをもつ『オトヒメエビ』
名前は「乙姫」などとセクシーなクセに、アップで顔をまじまじと見てみると…まるで悪モノキャラ。
なんだその不敵な顔、おまえは悪魔かっ(笑)
(鼻と口のように見えますが、実際の口はもっと下)
一見飼育難易度が高そうな見た目ではあるものの、意外に丈夫で人工飼料への餌付きも良い。派手なカラーリングで見栄えもするので水槽を彩る効果も抜群。
厳密な寿命はわかりませんが、経験上はどの個体も3年以上飼育できました。
動きは緩慢ですが水槽内のどこにいても「我ここにあり!」と目立つ存在であり、長く付き合えるので愛着もわく甲殻類になります。
なお親戚の『キイロオトヒメエビ』よりも大きく成長します。
適切な水槽サイズ
オトヒメエビは自然界レベルで考えれば「小型のエビ」となるわけですが、水槽で飼育する種類としては「大型エビ」と言っても良いサイズ感。
オトヒメエビ単体で飼育するならば30cmキューブでも可能ではあるものの、身体の大きさ以上にヒゲが非常に長く伸びておりライブロックなどを入れると少々窮屈。できることならば45cm水槽、他に生き物を入れたいならば60cm水槽程度のサイズが欲しいところです。
(親戚の『キイロオトヒメエビ』ならば最大でも5cm程度)
この長~いヒゲをこまめに手入れしている姿がまた可愛らしいのですよ。
1~2本づつ手繰り寄せ、しゅっしゅっとお掃除。丁寧に全部のヒゲをお手入れ。
暇さえあれば全身もお掃除。とても綺麗好きなヤツなんです。
丈夫で強いとはいえ、やはり甲殻類ですので濾過装置は十分な性能のあるものを使用しましょう。酸素も豊富に供給する必要があります。
大きく洞窟のように組まれたライブロックを隠れ家とするのも好きですので、余裕があればレイアウトを工夫してあげましょう。身体のサイズギリギリ程度の穴はやはりヒゲが当たるのであまり入りません。
オトヒメエビの餌付け
オトヒメエビは基本肉食。藻類などはほぼ食べません。
動きの遅い小型の魚などは寝ている間に捕まえて食べてしまう事もあります(オトヒメエビは夜行性)。
その他、ライブロックや底砂からピロピロ顔を出すゴカイ類(ウミケムシ類)も引っ張り出して食べますし、他種の稚エビも食べます。要するに小さくて動いてりゃたいていなんでも喰います。
しかし生き餌でなければ食べないかというとそうでもなく、人工飼料への餌付きも悪くない。
メガバイトであればサイズはSが良いかと。Mでも抱えて食べますが、一度に食べる量が少ないので残される事が多くなります。
栄養的には人工飼料を食べてくれるのが一番ではあるものの、場合によってはイマイチ喰いが悪いヤツもいますので…そういう場合はときどき冷凍エサを与えるのも良し。冷凍アカムシや冷凍イサザアミ(ホワイトシュリンプ)は大半のオトヒメエビが大好物なようです。
冷凍エサの場合も入れすぎないように注意。オトヒメエビはそのルックスに似合わず少食で一度に食べる量はそれほど多くありません。
一般的な冷凍アカムシやイサザアミであれば、オトヒメエビ1匹に対して1ブロックを6等分した量でも残すほどです。
なお乾燥クリルやシラスを食べるという話を聞いたことがありますが、私の飼育経験では一度も食べませんでした。
オトヒメエビの混泳
オトヒメエビを飼育するうえで気をつけたいのが他の生き物との混泳。先程も書いたように小型の魚類は捕食される可能性があります。
レイアウトなどの環境、個体差や運の要素などが関わってくるので「コイツは食われる!コイツは大丈夫!」と断言する事はできませんが、過去の経験上で混泳できていた魚と食われた魚は…
混泳できた魚:
イレズミハゼ・アケボノハゼ・ハタタテハゼ・その他いろいろ
食われた魚:
カニハゼ・幼いマンダリン・ハタタテハゼ
となります。重ねて言いますが保証も断言もできませんので、あくまでも戯言として参考程度に。なおハタタテハゼが両方に入っているのはレイアウトなどの関係や個体差だと思われます。
同種(オトヒメエビ同士)の混泳はペアになれば全く問題ありませんが、合わないとそりゃもうハサミがちぎれるまでバチバチ争うので…ショップですでにペアになっているもの以外を同居させようとするのは危険な賭けに。
なお非常に縄張り意識が強い生き物ですので、小さな水槽の場合は他のエビ類(キャメルシュリンプやイソギンチャクモエビなどなど)との混泳も避けたほうが良いかと思います。捕食された事はありませんが、縄張りに入られるとハサミを広げて激しく追い回すことがありますので…。
(オトヒメエビの縄張り主張範囲はかなり広い)
オトヒメエビ飼育の注意点
水槽サイズや混泳以外で、もう1点注意しなければならないのは…『甲殻類なのでヨウ素を忘れずに』です。
これはオトヒメエビに限った事ではないのですが、ヤドカリやエビ、カニなど『脱皮する生き物』はヨウ素が十分でないと脱皮の失敗で死んでしまう事があります。
私はたまーにコレを使用しています。なにより値段が安いのが魅力的。ちょっとボトルデザインも安っぽいですけど(笑)
ただし、それなりに良質な人工海水の素を使用し、しっかり定期的(月2~3回)に水換えを行っていれば微量元素が足りなくなることはほぼありません。添加は不要です。
オトヒメエビ飼育まとめ
オトヒメエビの飼育のポイントをまとめると…
- 水槽サイズは大きめに。意外にヒゲが長いぞ。
- 魚類との混泳は相性やサイズを考慮。できれば単体飼育が安心。
- エサのやりすぎに注意。オトヒメエビは乙女なので少食。
- 高い濾過能力・豊富な酸素・十分な微量元素を心がけよう。ただし添加剤は入れすぎ注意。
- ペア飼育したいならば最初からペアになっているモノが無難。
…となります。
海水水槽で飼育できるエビ類は多々いますが…その中でもインパクト抜群のルックスを誇り色味も綺麗。価格は1000~2000円程度で流通量も多いです。
ネット購入などを利用するとハサミが片方ちぎれている場合がありますが、適切な環境で長い時間と愛情をかければ復活します。
個人的には『好きな甲殻類』でも上位ランカーのオトヒメエビ、ぜひ皆様にも一度飼育していただきたい。
食性にワイルドな一面があり、人に対しても慣れるまではハサミを広げて威嚇してきたりもしますが…動きも緩慢で基本癒やし系の可愛い乙女エビですよ。