綺麗な貝殻・ヤバい正体『ハナビラタカラガイ』飼育方法・餌・食べるコケの種類は?
タカラガイの中でも小型な種である『ハナビラタカラガイ』について、飼育方法や餌、食べるコケの種類などをご紹介します。
ハナビラタカラガイ・飼育方法
適正水温:22~25℃
エサ:珪藻類・微生物
混泳:可
飼育難易度:低
環境さえ整っていれば飼育は容易。
餌付け難易度:低
個別に餌を与えなくとも、ライブロックやガラス面の藻類を食べる。
タカラガイの中でも小型で、美しい貝殻を持つクリーナー種。
ライブロックやガラス面についた藻類などを食べてくれる。
水三輪的な飼育情報
水槽の掃除屋として知られ、流通量も多く安価、容易に入手可能な『ハナビラタカラガイ』
注)正しくはハナビラ「ダ」カラガイが正式名称らしいのですが、「タ」で呼ばれることが多いのでそちらで記載します。
ガラス面の掃除をするという事で同じく安価なシッタカ貝と比較される事も多いのですが、個人的には性質が異なるクリーナーだと感じます。
なお一般的に手に入るタカラガイにも数種類あり、この「ハナビラタカラガイ」と「キイロタカラガイ」は小型の種類。飼育ポイントも同じです。
寝顔は美しい・・しかし・・
キラキラ艶々した貝殻が美しいため「掃除屋なのに鑑賞価値もある」といった評価をされたりしていますが、この綺麗な白い貝殻を見せている状態はコイツにとってはいわゆる貝に引っ込んでいる状態。寝てたり、休んでいたりする状態です。
基本的にコイツは夜行性。昼間はライブロックの陰や裏などに隠れたがります。その隠れている時の状態が「美しく鑑賞価値のある姿」というわけです。
ショップ水槽のような隠れる場所も何もない水槽であれば、美しい姿のままガラス面にくっついているのですが・・・・ライブロックなどを多く入れた飼育水槽では隠れてしまうため、昼間は鑑賞できない事が多くなります。
そして夜。水槽の照明を消してからが彼らの本領発揮。
トランスフォーム!
外套膜と呼ばれる黒くて突起物がたくさんついた膜状の物で貝殻の表面を少しづつ覆っていき、せっかくの美しい貝殻を隠してしまった状態。それがコイツの真の姿になります。
「貝さんは硬い貝殻で中身を守っているんだよね♪」
という子供達の常識をぶち壊し、硬くて丈夫な貝殻を柔らかい本体で覆うという、守っているのか守っていないのかわからないスタンス。
しかしこの外套膜のおかげでひっくり返っても自分で起き上がる事ができ、「ひっくり返ったらそのまま死ぬ」という、あまりにも理不尽な宿命を背負うシッタカ貝よりも生存率は高し。
外套膜の形状は固体によって多少の差があり、ピコピコとちょっとしたヒゲ程度のものが生えてるヤツもいれば、かなりハードな突起物でアグレッシブな見た目になるヤツもいます。初めてそういうハード方向の固体を見た時の衝撃は大きかったです。
写真、照明が見づらくてすみません。明るい光を当てるとすぐにひっこめて、綺麗な貝のフリをしようとするので・・。これが限界でした。
もはやただのタタリ神ですな。
この状態が元気な生物としての【ハナビラタカラガイ】です。美しく鑑賞価値があるのは、元気に動いていない状態の【タカラガイの貝殻】です。
例えて言うならば「普段起きてる時は化け物じみたブスなのに、寝ている時は女神のように美しい彼女」のようなものですよ。果たして交際を続けていくべきか否か、非常に悩むところではあります。
ちなみに良好な環境で慣れてくると、昼間でも普通に外套膜を出して行動するようになったりします。
掃除屋としての性能
ここからはあくまでも「個人の見解」です。環境の差もありますし、全ての方に絶対に当てはまるとは言えませんのでご了承下さい。
ガラス面の掃除を期待して投入する方も多いかと思いますが、前述したように「隠れる場所が何もない」といった環境でない限り常にガラス面にくっついているという事はなく、ライブロックがあればそちらにいる事が多くなります。
この点が「基本的にガラス面にくっついて生活する」という性質をもつシッタカ貝とは大きく異なります。なお、目が粗くないかぎり底砂の掃除もしません。
そのぶん、ライブロックの掃除能力はかなり高い部類に入ります。
ただ意外に慎重派なので、水槽に入れて1~2ヵ月くらいは同じ範囲でばかり行動する事があります。
雑食性が強い
「雑食性があり海草類やデトリタスも食べる」という情報もありますが、残念ながら私の飼育環境では海草を食べる姿は観察できませんでした。そして「ホヤ類も食べる」とされています。
実は以前、ハナビラタカラガイと同じ水槽に小さなホヤを飼育していたんです。ライブロックに付いてきた1cm未満のものです。
この可愛いオレンジ物体。ベニボヤ…でしょうか。
じっくり観察していたところこれにもゴリゴリ噛りついていたため、慌ててホヤのほうを隔離しました。
まとめ
イロイロと悩ましい生物のハナビラタカラガイですが、評価は飼育環境にかなり左右されると思います。
あくまで「掃除屋」として導入したい場合、シッタカ貝がガラス面の茶ゴケだけで長く生きれないのと同じように、ハナビラタカラガイもライブロック等に豊富にエサがないと餓死してしまいます。
これは【水槽内の掃除屋】とされる生物の多くに共通するのですが・・・そういった生物を掃除能力目当てで投入する場合、藻類などを食べさせて水槽内(の見た目)を綺麗に保つ事が目的になります。
しかし「水槽内が綺麗に見える」という環境は、彼らにとっては「食べ物が不足している」ということ。その生物に対してのエサを考えてやらず「こいつは主役ではなく、あくまでも掃除屋だから」と、わずかに付着している汚れや食べ残しだけで飼育しようと思った場合、元気に長生きしてもらうのは難しくなります。
そういった観点で見た場合、ハナビラタカラガイはかなりの大食漢なので、ライブロックを多く入れた水槽などでないと食べ物が枯渇しやすくなります。
死んでしまっても簡単に買い足す事ができる種類ですが、やはり長生きしてもらいたいじゃないですか。たとえ普段ブスだって良いんです、寝顔がとても美しければ。普段美人だけど寝顔がひっどいブスの彼女よりマシです、たぶん!