丈夫な掃除カニ『エメラルドグリーンクラブ』飼育方法・餌・食べるコケ(藻類)
海水水槽でもメジャーな掃除屋『エメラルドグリーンクラブ』の飼育方法・餌・食べる藻類(コケ)の種類などをご紹介。
別称:エメラルドクラブ・グリーンクリンギングクラブ
エメラルドグリーンクラブ
飼育方法・餌・混泳など
適正水温:
25℃前後
餌:
藻類・人工飼料
混泳:
可
飼育難易度:中の下
しっかり水質が安定している水槽であれば、飼育は容易。
餌付け難易度:低
藻類が生えていれば積極的に食べ、人工飼料にも餌付きやすい。
コケ・藻類を掃除してくれるカニとして非常にポピュラーな種類。大きさは最大で4~5cmほど。
餌さえ枯渇させなければ丈夫でとても飼育しやすいカニ。
水三輪的な飼育情報と注意点など
「買ってきたライブロックからカニが出たー!」なんて事になると『必死に捕獲⇒隔離』の流れが普通ですが・・・こちらは「安心してお魚と暮らせるカニ」の代表、エメラルドグリーンクラブ。
コケ・藻類の掃除屋として有名で流通量も比較的多く、ショップでもよく見かける生き物になります。
生態
ショップの水槽で見ていると昼間っから堂々とあちこち動き回っている事が多いエメラルドグリーンクラブですが・・・購入して自宅に連れ帰り、ライブロックなどの「隠れる場所」が多い水槽に入れた途端にシャイボーイに変化するのはよくある事。
本来は夜行性の傾向が強く、昼間はライブロックの裏側などに隠れ、夜になるとツマツマと藻類を食べるという生活することが多い生き物になります。
しかしカニは全般的に人慣れする種類が多いので、新しい環境に慣れて人工餌がもらえる事を覚えたりすると明るいうちから普通に出歩くようになったりもします。
そして縄張りという意識があるかどうかわかりませんが、せっかく藻類がモサモサ生えているライブロックには行かず、気に入った特定の範囲内だけで生活することも。
食べるコケ・藻の種類
コピペの飼育情報では「泡状の藻類を食べる」と紹介されている事が多いエメラルドグリーンクラブ。
もちろん泡状の藻類(バロニア)も食べますが、別にそれ専門というわけではなく、飼育水槽内で頻繁に見かける「モサモサした緑のコケ・藻類」もしっかり食べてくれるのでご安心を。
特に柔らかいモワッとした藻を好み、ヒゲ藻(灰色っぽい毛状の藻類)も食べてくれます。
食べる藻類には個体差があるものの、基本的に「赤い藻」は食べません。もちろんベットリ付いたシアノバクテリアと呼ばれるモノも食べてはくれません。それを喰わせたいならばタツナミガイという名のモンスターを入れましょう。
なお個体の大きさにより、藻類の掃除能力は大きく異なります。
小型のエメラルドグリーンクラブはモサモサと成長した藻類はあまり食べず、ポワポワと産毛程度に生えている藻類をつまむことが多くなります。
エメラルドグリーンクラブが食べる餌
エメラルドグリーンクラブは人工飼料にも簡単に餌付き、比較的早くからあっさりと受け取ってくれます。
沈下性の細かいエサであれば底に落ちたモノをハサミで拾って食べ、粒の大きい餌は抱えながら少しづつちぎって食べます。ただし形状によっては持ちづらいらしく、すぐに落としてしまったりも(笑)
海水魚用の餌ではないのですが、我が家ではプレコトムスという商品をたまにオヤツとして与えています。
薄いチップの形状がハサミで持ちやすく、小さく割ってピンセットで目の前に持っていくと受け取ってくれます。さらに水中で溶けづらいので、最後まで食べきれて便利。
淡水生物と海水生物では必要な栄養素が違いますので、できれば海水魚用の餌を与えたほうが良いのですが…人工餌はあくまでも「おやつ」という事で。
主食は水槽内の藻類を食べてもらい、コミュニケーションの一環として、手渡しを楽しむためのエサとしてこれらを与えています。食べたくない時は受け取っておきながらすぐにポイッとぶん投げやがります(笑)
魚や同種との混泳
エメラルドグリーンクラブは草食性ですので、魚と同居させても危険度はかなり低いカニです。
小型のカニにしては強気な性格をしていますが、「食べ物に不自由しない」という環境を作ってあげれば、他の生物に余計なイタズラをする事はまずありません。
ただし、他の生物にも言える事ですが『草食性』と一言で言っても「植物類しか食わない」という生き物と「草食よりの雑食」という生き物がおり、基本的に草食性の甲殻類は後者が大半です(フシウデサンゴモエビなど)。
魚の死骸などがあれば食べますし、動物性の餌にも寄ってきます。エメラルドグリーンクラブも死骸を食べることはよくありますので、朝起きて魚を食らっているエメグリを発見し「ギャー!こいつ襲いやがったのか!?」と驚かないようにご注意を。たぶん、無実です。
なお同種の複数飼育も問題ありません。
時々小競り合いをすることがありますがハサミがちぎれるまで争ったりすることはなく、そのうち適当に住み分けてくれます。ただし餌となる藻類が枯渇するほど大量に入れるのはやめたほうが良いかと。
その他・飼育の注意点
カニ類は身体の大きさから想像する以上にパワフルですので、繊細なレイアウトをしていると崩してしまう事があります。細かい枝サンゴなどを乗せるだけでレイアウトしている場合は注意。
まとめ
『食べる藻類』の項でも書きましたが、小さな個体では大きな藻類をちぎる事ができず、ほんのチョロッと生えているウブ毛のような藻を食べる事になり「掃除能力」は低くなります。
コケ・藻類の処理だけを目的として飼うのであれば、できるだけ大きい種類を購入しましょう。ただし水槽内の藻類が減ってくると餓死してしまう事がありますので、何も餌を与えなくとも掃除だけで飼育できる貝類などとは違うという事をお忘れなく。
ついでに、これはかなり稀だと思うのですが…過去に「殻幅1cmほどの、ただの小さい緑色のカニ(エメラルドグリーンクラブではない)」を「エメラルドグリーンクラブ」と表示して販売しているところを一度だけ見たことがあります。
甲羅の形状が特徴的なのでしっかり見れば判別できると思うのですが、小さいモノだと間違う事があるかも・・・いや、ないと思うんだけどなぁ。
よほど適当もしくは知識の無いショップじゃない限りそんな事はないと思いますが…とりあえずご注意下さい。