コケ取り職人『ヤエヤマギンポ』飼育方法・エサ・底砂・動かない時は?
非常に飼育しやすく丈夫。茶ゴケを積極的に食べてくれる事から掃除屋としてもメジャーな『ヤエヤマギンポ』
茶ゴケをモリモリ食べてくれてるコケ取り職人、しかも丈夫で飼育しやすい『ヤエヤマギンポ』 餌や底砂の有無、動かない場合の対処なども含めて飼育方法をご紹介。
ちょっと色味は地味ですが、とても人懐っこく愛嬌があり水槽の主役として飼育しても面白い魚ですぞ。
ヤエヤマギンポ・飼育方法
適正水温:
25℃前後
餌:
藻類(茶ゴケなど)、人工飼料
混泳:
基本的には可。ただし同種や近縁種とは争う事があるので注意
飼育難易度:低
水質悪化や水温変化にも強く、かなり丈夫。
餌付け難易度:低
水槽内のコケ(藻類)を積極的に食べるうえ、人工飼料もほとんどの種類を食べる。
とにかく丈夫。しっかりエサを食べていれば多少の水温変化では体調を崩すこともない。
最大で15cmほどになるが、水槽飼育環境ではそこまで大きくならない場合が多い。飼育下での寿命は3年ほどと言われている。
水三輪的な飼育情報
ブレニー系は基本人に慣れやすいものですが、その中でも特に人懐っこい性格のヤエヤマギンポ。
地味な体色をしているために主役ではなく「掃除屋」として投入される事が多いものの…しっかり愛情を注いで接すれば、まるで小動物のようにコミュニケーションをとることも可能。
頭が良いのでイロイロな事を覚えてくれますし、人にもよく慣れます。
ヤエヤマギンポのエサ
ヤエヤマギンポは典型的な『茶ゴケイーター』
ガラス面やライブロックの表面、底砂などにべっとりとつく「茶色い藻類」を好んで食べます。「緑の藻類」は生えたての時期は食べますが、モサモサと成長してしまうとほぼ食べません。
食べたあとには、セクシーなキスマーク(笑)
とにかく大食漢でモリモリと藻類を食べてくれますが、それだけで飼育しようとするとエサ不足になる場合があります。できれば人工飼料も与えてあげましょう。とても餌付きやすく、植物系のものであればほとんど何でも食べます。
『浮くエサ』でも『沈下性のエサ』でも両方食べますが、慣れるまでは浮いているエサを食べるのは苦手なようです。覚えさえすれば金魚のようにパクパク食べるようになりますよ。
多少大きな粒でも食べようとしますが、小さな粒のほうが負担が少ないようです。
基本はやっぱりキョーリンのメガバイト。ホント、このエサは万能ですなぁ。
底砂の隙間に落ちてしまったエサなどは拾えない事が多いので、食べ残しに注意して下さい。
混泳・サンゴとの共生
ブレニー系のお約束として同種とは激しく争う事があるので注意。近縁種との混泳も争いが起きる場合があります。
それ以外では非常に混泳向きの性格をしているのがヤエヤマギンポ。気性は強すぎず弱すぎず、他の魚を威嚇することもほぼありませんし、逆に威嚇されてもそれほど気にしません。よほど気の荒い魚でなければ混泳は容易です。
なおサンゴは食いませんので、サンゴとの共生も問題ありません。藻類対策としてサンゴ水槽に一匹だけ入れられたりもします。
底砂は必要?
ヤエヤマギンポは底砂無しのベアタンクでも飼育が可能です。
むしろ底砂がないほうが残さずエサを食べられるようになりますし、大量に垂れ流すフンの掃除もしやすくなります。見た目は殺風景になるのでインテリア向きではなくなってしまいますが、もし「ヤエヤマギンポを主役として飼育したい」というのであればベアタンクをオススメします。
もちろんサンゴ水槽や他の魚との同居で「底砂あり」の状態でも問題はありません。
隠れ家があれば良し
特に隠れる場所が無くてもそれなりに生活しますが、やはり隠れる場所があると嬉しいようです。
ライブロックに大きめの穴などがあると好んで入ります。隠れられるように組み合わせてレイアウトしても良いですし、ドカンのようなオーナメントを入れるのも良いかと。
こんな感じのシーウーチンも見た目は良く、好んで入りはするのですが…ヤエヤマギンポはぐんぐん大きくなるのですぐに小さくなってしまったりも(笑)
一ヵ所から動かない時は・・
他の魚のようにユラユラ泳ぎ続ける事は少なく・・・基本的に「動く時は素早く一気に動く」「それ以外はじっとしている」という事の多いヤエヤマギンポですが、ずーっと同じ場所から動いてくれなくなる事が稀にあります。
理由は様々だと思いますので一概には言えないのですが・・・一例として、原因と対処法をご紹介します。ただしあくまでも「私個人」の経験での話ですので、全てに当てはまるとは言えません…。
水質や環境を改善してみる
まず水質に異常がある場合は問題外です。水換えしましょう。ちゃんと良い水質を維持しましょう。
水槽に慣れないうちから水流が強すぎると、楽な位置にずっと止まっていたりもします。慣れてくればむしろ水流のある場所を好んだりもしますが、心配な時は少し弱めるか吐出方向を変えるなどしてあげましょう。
そしてあくまでも私の経験則なのですが、ヤエヤマギンポは水中の酸素が豊富な状態を好みます。「動きの少なかったヤエギンが、エアレーションを足したら活発に活動するようになった」という事もありますので、ご参考までに。
同居人を変えてみる
「基本的に混泳は可能」となっていても、生き物には大きく個体差があります。
1匹1匹気性も違いますので、ヤエヤマギンポに限らず混泳している魚が原因であまり動かなくなることは多々あります。
特にイジメられている様子などがなくても「他の生き物が気に入らない」という場合がありますので、可能であれば水槽を分けたりレイアウトで対処するなどしてみましょう。
焦らず時間をかけて様子をみる
ヤエヤマギンポは決して「臆病」ではありませんが、環境変化に対しては「非常に慎重」です。
購入してきて水槽に入れたばかりの頃や、水槽の移動や大幅なレイアウト変更で環境が大きく変わった時など、同じ場所から動かなくなる事はよくあります。
安心できる住み家が見つかった場合なども、周囲の状況を覚えるまではずっとそこに入っていたりします。
水質に問題がなく、多少の人工餌(もしくは周囲の茶ゴケ)を食べているようであれば、焦らず1週間くらいは様子を見てあげても良いでしょう。様子を伺いながら少しづつ行動範囲を広げていくはずです。
そのぶんヤエヤマギンポは頭が良いので、慣れて覚えさえすれば掃除しようが手を突っ込もうがへっちゃら。入れている手にカプカプかじりついてエサをおねだりするようにもなりますよ。やだ可愛い。
ヤエヤマギンポまとめ
見た目の派手さはありませんが、その動きとしぐさが非常に可愛いヤエヤマギンポ。飼育も簡単なのでビギナーにもおすすめの魚です。
- とても丈夫で飼育しやすい
- コケ取りとして優秀、しかし主役も張れる人懐っこさ
- 性格は慎重かつ大胆
- 最大で15cm(飼育下では10cm強程度)になるので覚悟が必要
なお、コイツは体色がコロコロ変わります。白っぽい砂の上では白っぽくなり、ライブロックの中に入れば黒っぽく。寝ている間も色が変わっていたりします。
価格も安価、流通量も多い生き物なので入手も容易。海水魚を扱うショップに行けばほぼ確実にいますので、ぜひ一度ヤエヤマギンポのブサイクな魅力に触れてみてください。
人慣れもしてくれるので、脳内妄想で会話しやすい魚でもありますよ(笑)