海水魚水槽に食塩はダメ?海から汲んだ天然海水は?

時々目にする「食塩で海水魚を飼育できますか?」「粗塩なら良いって聞いたけど?」「じゃあ伯方の塩なら?」といった質問。 たしかに人工海水の素は「ただの塩のクセに高い」と感じるかもしれません。しかし、アレはただの塩ではないのです。

今回は『ただの塩(食塩)で海水生物を飼育できるのか』について。ゆるーく解説してみたいと思います。

食塩で海水飼育はできる?できない?

食塩

一般的な食塩であればごっそり入って数百円。これで海水の生き物が飼育できるのであれば、非常にコスパの高い飼育水になります。

食塩で海水生物の飼育は「できる」か「できない」か、二択で結論を申し上げますと…

できない

になります。

おっと、反論コメントを書き込もうとした方、ちょっと待った!もう説明の少し時間をください。

この「できない」というのは「食塩を使ったらすぐ死ぬよ!」という意味ではありません。

食塩では飼育できない理由

「だって海の水は塩水じゃん。だったら食塩でも同じでしょ?」

と思うかもしれません。たしかに海水も食塩水も同じく「塩辛い水」ですが、それは人間が勝手にそう思っているだけ。

海水は「ただの塩水」ではないのです。

元素記号

海水には多くの微量元素が含まれています。ヨウ素やカルシウム、マグネシウムなどなど・・挙げていったらどんどん文字数が増えていってしまうくらい、多くの種類が含まれています。

この微量元素、ミネラルは海水生物が生きていくうえで欠かせないものとなっています。

しかし市販の食塩はこれらの成分をほぼ含んでいません。

人間は基本的に必要な栄養素を食べ物から補給しますが、海水生物は食べ物だけでなく海水に含まれている成分が大事になってくるため、単なる食塩水では健康的に長生きできないのです。

もちろん比重と水温が適切であれば、食塩を溶かした飼育水に入れたからといって魚が即死するわけではありません。しかし「飼育していく」のであれば、それではダメという事です。

じゃあ粗塩は?伯方の塩は!?

「はっ!かっ!たっ!のっ!しおっ!!」のCMでおなじみの伯方の塩。

普通の食塩にくらべて天然ぽいせいか「食塩はダメだけど粗塩系なら大丈夫」と語る方もいます。

たしかに食用の塩でも、ミネラルを含んでいる商品はあります。

しかし人工海水の素に含まれている成分と比べてしまえば雲泥の差。やはりこれ単体で海水魚の長期飼育をするには向いていません

じゃあニガリ!にがりを入れれば?

しかしここまで説明してもなお、

「食塩は成分が足りないからダメなんでしょ?じゃあ食塩に「にがり」を入れればいいじゃん」

と食い下がる方がいます。

この「にがり」の主成分は塩化マグネシウム。

ものすごくざっくり言うと「海水から食塩(塩化ナトリウム)を作る際に余ったミネラル分」になります。

『海水-食塩=にがり』という事になりますので、理屈上は『食塩+にがり=海水」 あくまで理屈上は、ですよ。

海水魚ショップでも添加剤として「にがり」を販売しているところもあります。

ただし精製する際に失われる成分もありますので、塩化ナトリウムを除いた成分を全て含んでいるかと言えばそうではなく・・・製品によって含まれている成分量も異なります。

なぜそこまで食塩にこだわる?

そもそも、海水魚の飼育に適した製品として人工海水の素が売られているのに、なぜ「食塩」または「あら塩+にがり」という不確実かつ遠回りな方法で海水魚の飼育をしたいのでしょう。なぜそこまでムキになって「食塩で海水生物が飼育できる」という主張をしたいのでしょう。

もしそれが宗教上の理由であったり、死んだ爺ちゃんの遺言であったりするのであれば止めはしませんが…単に「食塩を使ったほうが安上りだから」という短絡的な理由であれば論外です。

こういう言い方をすると誤解を生むかもしれませんが、命と健康を維持するためのお金を惜しむような人に『生き物の命を預かる趣味』は向いていません。

「人工海水の素を買うのは高いし面倒だし、海水生物を食塩だけで飼おう」という考え方は、「ドッグフードを買うのは高いし面倒だし、犬を食パンの耳だけで飼おう」と言っているようなものですよ。

海から汲んだ天然海水なら!?

磯で汲んだ天然海水

ではちょっと目線を変えて、海から直接汲んできた海水ならどうだ?と。

「食塩は海水のようにミネラルを含んでいない。ならば海水そのものなら!」と考えるのは間違っていません。

たしかに、天然の海水は海水のミネラルを含んでいます(わけがわからん)。

これは非常に難しいところなのですが・・・結論としては、

できれば避けたほうが良い

となります。

ただしこれも例外がありますので、ちょっとご説明を。

天然海水を避けたほうが良い理由

海が綺麗な地域にお住まいであれば別なのですが、一般的に日本近海の水は汚れています。

単純に環境汚染によって汚れている場合もありますし、水槽飼育には不適切な雑菌や病原菌が含まれている場合もありますので、それをそのまま水槽に入れてしまうというのは危険を孕みます。

そして海水にはプランクトンも多く含まれています。こういった微生物は魚や環境にとって有益な場合も多々あるのですが、予想外の生物が繁殖してしまう危険性もあります。

世の中には直接海から汲んできた海水を利用し、適切な環境でマリンアクアリウムを楽しんでいる方も多くいます。ただしそういった方々はしっかりと経験を積み、危険性も理解したうえで使用している場合がほとんど。それならば全く問題ありません。

初心者が安易に海水を汲んできて使うのは危険、という事です。

もちろん、住んでいる地域や採取する海の環境によっても大きく変わりますので、簡単に良質な海水を汲める環境に住んでいるベテランの方はガンガン使ってください。むしろ羨ましいったらありゃしませんよ、ほんとに。

海水水槽に食塩・まとめ

最終的な結論はやはり「食塩はやめよう。人工海水の素を使おう」になります。

だからこそ人工海水の素がここまで流通しているわけですし。

価格も様々ですが、サンゴ等を入れずに飼育の容易な海水魚であれば安価な製品でも問題ありません。

ちょっと量が多いですが、個人的にはこちらが最もコスパが高いと思っています。

塩代をケチって魚が早死にしてしまってはむしろ損になってしまいますし、なにより「飼育」というのはその生き物の命を預かっているという事。

しっかりとした環境を作ってあげて、楽しい海水水槽ライフをおくっていきましょう。

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