イソスジエビ・モエビ類の飼育と繁殖

【当ページ内には広告が含まれています】

一般的には餌用エビとして販売されている『イソスジエビ』『モエビ』類の飼育方法・エサ・繁殖等についてご紹介。

イソスジエビ・モエビ

「観賞用」ではなく「餌用」として販売される事の多いイソスジエビやモエビ。

餌用として購入した場合、そのまま食べさせてしまえばそれで終わりですが・・・非常に繁殖させやすい生き物ですので「稚エビを餌にする」という利用方法もありますし、半永久的に増やし続ける事も可能。

マンダリンやヨウジウオなど「プランクトンフィーダー」と呼ばれる生き物の給餌は難しい場合が多いですが、同じ水槽内にイソスジエビやモエビを入れて繁殖させることで、継続的に「新鮮な動物性プランクトン」を供給する事もできますぞ。

入手方法

海水魚を扱うお店であればフグなどのエサ用として販売されている事がありますが、大手ペットショップなどでは扱っていない場合も。

少々高値ではありますが、ネット通販で購入する事も可能です。
(その性質上、欠品になっている事多し)

購入の際、間違えて「淡水エビ」を買わないように注意。それはホントに単なる「エサ」です。
(飼育水槽とは別の淡水水槽で飼育・繁殖し、随時エサとして投入するのであれば淡水エビもアリ)

日本近海の磯などでも簡単に採取することができるので、自分で採ってくる事も可能ですよ。

なお地域によって「磯採集に関する条例」に違いがありますので、くれぐれも迷惑をかけたり怪しまれたりしないように注意しましょう。場所によってはバケツ持ってウロウロしているだけで通報されたりします(過去に何度か経験あり)

イソスジエビ・モエビの飼育

一言に「イソスジエビ・モエビ」と呼んでいても実は種類はさまざま。小さなエビ類を総称して「モエビ」と呼ぶ場合も多いです。

販売されているものは「エサにするための、ただの小型エビ」といった位置づけなので、細かい分類などが表記されていない場合がほとんど。

しかし彼らも別に『餌専用』として生まれてきたわけではありませんので、普通に飼育して愛でることも可能。おしゃれなエビなんぞよりも遥かに丈夫で簡単だったりします。

イソスジエビ・モエビ飼育の注意点

・餌用として販売されている種類はたいてい「日本近海モノ」のため、一般的な飼育水温(25℃前後)では温度が高すぎ。

しかし基本的に丈夫なので、じっくり水温に慣らせば25℃でも飼育は可能です(多少死ぬ個体は出ます)。

エサはなんでも良く食べ人にも馴れるので、水槽環境(水温・水質)さえクリアできれば飼育は超簡単。エサ欲しさに掃除している手にしがみついてきたりも。

もし繁殖を目当てで飼育したい場合、個人的にはイソスジエビがオススメです。

イソスジエビの繁殖

環境さえ良好ならばイソスジエビはどんどん抱卵します。ツボにハマればそりゃもうお祭り騒ぎ。飼育している匹数にもよりますが、雌雄混ざって合計10~15匹程度いれば次々に卵を抱える姿を見ることができるでしょう。

鑑賞用として購入できるエビのうち、比較的水槽で繁殖が用意とされるイソギンチャクモエビなどより遥かに簡単に増えてくれます。

おそらく1ペアで飼育する事はないと思いますが、念のために雌雄の見分け方も…

イソスジエビ オス

こいつがオス。

メスに比べてやや身体は小さくなります。

イソスジエビ メス

こっちがメス。すでに抱卵しています。

胴体下にある左右の…ココはなんて呼べば良いのでしょう、卵を左右から守るように殻のフチが伸びているのがメスです。

エビ類の基本的な見分け方と同じで、パッと見にスリムなのがオス、腹が太く見えるのがメス。そして最も長い胸脚(一番先端の手のように使っている脚)が発達しているのがオスです。
(このへんは種類により異なりますので、参考程度に)

特に水温の変化などを与えずとも、一般的な水温25℃前後をキープしたままで勝手に抱卵を繰り返してくれます。

繁殖の注意点

まず、良好な環境を整えるのはもちろんですが、最も気を付けなければならないのが濾過装置になります。

生まれたばかりの稚エビは動物プランクトンとして水中を漂いますので、全く対策をとらないと稚エビの数が格段に減ってしまいます。場合によってはハッチアウト後に全て吸い込まれてしまって全然増えません。

濾過方式によって対策は変わり、外掛けフィルターや外部フィルターなどで直接吸っている場合はストレーナースポンジなどを取り付けましょう。目の粗いヤツはダメです。できるだけ細かいものにしましょう。

流れが少ないオーバーフロー水槽でも可能ですが、理想は底面濾過です。

孵化した稚エビのエサはクロレラが好ましいとされているようですが、私の飼育経験では特に何も与えなくとも勝手に大きくなってくれています。おそらく水槽内の細かい藻類を食べているのでしょう。

もし環境上、飼育水槽内で一緒に繁殖させられない場合はサテライト水槽を使うという手も。

抱卵した個体だけ個別に隔離するのもアリです。動きが早いので捕まえるのは困難ですけど…。

サテライトを使えば孵化した稚エビの観察や隔離も楽ですぞ。

親は喰わせず、永久機関

プランクトンフィーダーを飼育している方ならば一度は考えるであろう…

  • 飼育水槽内で魚と同居させる
  • 繁殖させ、生まれた稚エビを餌に
  • 一部の生き残った稚エビが成長して親エビになる
  • それらが繁殖して稚エビを…(以下ループ)

という永久機関、「エビ繁殖・無限ループ」は可能です。私の環境ではそのループで数年以上イソスジエビが尽きていません。

注)親エビを食うような魚の場合は無理です。別水槽にしましょう。

ただし、「繁殖するエビを利用して無給餌化」には成功できていません。同居させる魚にもよると思いますが、とにかく供給が追いつきません…。

スポッテッドマンダリン

スポッテッドマンダリン1匹だけの60cm水槽に、イソスジエビを20匹ほど入れて繁殖させていますが・・・生まれた稚エビは成エビに育つ前に全て食べられてしまいます。

ライブロックを多く入れて「安全な空間」を十分に作ってあげれば、それなりに親エビまで成長する個体も出てはくるのですが…それでも繁殖するエビだけで全ての食事を賄う事ができません。それ以外のエサやりは必要になってきます。

もっと大量にエビの数を増やせば完全無給餌化も可能な気はするのですが、それだと「でかい水槽にライブロックを多く入れて、魚1匹と膨大な数のイソスジエビを飼育」という、いったい何を飼育しているのかわからないような環境になってしまいますし(笑)

現在はストック用水槽でもイソスジエビを繁殖させ、飼育水槽側が減った時に随時補充(雄雌を見て、足りないほうを入れる)・・という体制をとっています。

イソスジエビ・モエビの飼育&繁殖まとめ

イソスジエビ メス

単純に飼育だけしたいのであれば、通常の海水魚と同様のシステムで問題ありません。

繁殖させたい場合は吸い込みに注意。

プランクトンフィーダーのエサとして稚エビを利用したい場合、隠れられる場所(捕食者が入れないような場所)を作ってあげましょう。

親エビを食べる魚の餌として増やす場合、別に適当な底面濾過水槽を作って繁殖させましょう。全く捕食者がいない水槽で吸い込みもない環境を作れば、かなり良いペースで増え続けてくれますよ。

ぜひあなたも「イソスジエビ・モエビの無限増殖」に挑戦してみてください。難易度はかなり低めですよ。

イソスジエビ・モエビ類の飼育と繁殖”へ4件のコメント

  1. トラ より:

    こんにちは。以前から自分たち用の食料を海老で作れないかなと考えていました。エサや他の品種などおすすめはありますか?
    アンモニアや硝酸などの浄化は良い方法がありますか?
    底面フィルターは良い方法だと思います。

    1. 灰犬 より:

      コメントありがとうございます。
      「自分たち用の食料」とは…人間用という事でしょうか?
      そうであれば申し訳ない、私は観賞用としてしか考えた事がないので、品種や飼育方法・食用とした場合の安全性などはまるでわかりません・・・。

    2. ワチミ より:

      初めての質問失礼します。
      自分もイソスジエビの繁殖を考えているのでとても参考になりました。
      ただ一つ疑問があり「25℃前後をキープしたままで勝手に抱卵を繰り返してくれます」とあるのですが、産卵後どのくらいの日数で再度抱卵をするのでしょうか?

      1. 灰犬 より:

        コメントありがとうございます。
        仕事に追われて返信が遅くなってしまいました。
        イソスジエビの抱卵ペースなのですが、常に大人のエビが20匹前後入っている状態にしているので個体の識別ができず、『産卵後どのくらいでもう一度抱卵しているのか』をしっかりと検証したことがありません・・・(汗)
        抱卵ペースに波があるので、あくまで私の飼育環境での感覚ですが・・・10匹前後メスが入っている状態で多くて2匹、1ヵ月以上誰も抱卵していない時もありますので、そこまで産卵ペースは早くないと思います。
        あまり参考にならず申し訳ありません、余裕ができたら個別に飼育して産卵ペースも観察してみたいと思います。
        今後ともどうぞよろしくお願い致します。

ワチミ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です