『ヤリテング(ウミテング)』飼育方法・餌・などなど
ヤリテング・飼育方法
適正水温:23~25℃
エサ:ヨコエビ・イサザアミ・ブラインシュリンプ等
混泳:臆病で大人しい性格のため、他生物との混泳は要注意。同種での混泳は可能な場合が多い。
飼育難易度:中
臆病で神経質、餌付けも難しい。底砂上を這って生活するので、ごちゃごちゃさせずに広い底面積があったほうが良い。
餌付け難易度:高
基本的に活餌しか食べず、人工飼料には餌付きづらい。餌は底面でしか食べないうえに探す速度も遅く、工夫と努力が必要。
水三輪的な飼育情報
地味な色合いですが、その独特なフォルムと雰囲気がとても可愛らしい『ヤリテング』
体色は黒っぽいもの~かなり白っぽいものまで差がありますが、保護色の役割をはたしているので飼育しているうちに環境に合わせて微妙に変化します。
ウミテングの中で、このヤリテングだけは「泥砂に潜る性質がある」と聞いたことがありますが、泥砂を敷いたことがないのでわかりません。経験上、底砂は必須というわけではなく、ベアタンクでも飼育は可能です。
ゆっくり泳・・いや、泳いでない
ヤリテングは基本的に泳ぎまわることはせず、水槽の底面だけで生活します。
…が、決して泳げないわけではありません。
初めてヤリテングを飼育して日も浅かった頃、掃除の際に驚かせてしまい…
しゅぱーん!!
と急上昇して水面から数cm飛び出たことがあります。
幸いそのまま水槽内にまた落下したので良かったのですが・・・非常に驚きました。
後にも先にもそんな動きをしたのはこの時だけなので、水槽外への飛び出しに神経質になる必要はないと思いますが、その気になれば早くも泳げるし水面上にも飛び出せる…という事を忘れずに。
驚かせたりしなければ動きも穏やかで、優雅にゆっくり底面を移動しています。
情報サイトなどで見かける説明でも「水槽の底をゆっくり泳いで生活します」となっていますし。
しかし声を大にして言いたい。このヤリテングという生き物、
泳ぎません。歩いています(笑)
テグリ系など、ヒレを前足のようにしてトーントーンと歩く(ように見える)魚は多数います。
しかしヤリテングはまるでトカゲのようにヒョコヒョコと歩くんです・・・。
しかも、大きなヒレは使わず、その後ろ。まるで後ろ足のようなヒレがで。
この部分です。
拡大してみます。
このピロッとした可愛い足(ではない)で歩きます。
後ほどご紹介する動画で、歩く姿も確認できます。
これもまたかなり衝撃でした。てっきりゆらゆらと底面を泳いで暮らすものとばかり・・・。
急いで移動する後姿は、本当に爬虫類のようですぞ。
鬼の餌付け難易度
そしてコイツ、とにかく人工飼料を食べません。完全に食べ物として見ていません。
ですので、与える餌は活ブラインシュリンプやヨコエビなどの「活き餌」が基本となります。
冷凍イサザアミを食べる、という話を聞いたことがありますが、残念ながら実際に確認はできませんでした。
しかも「底にいる微生物を食べる」を貫き通すので、浮いているものはもちろん、ガラス面やライブロックの上にいるヨコエビなども基本的には食べに行きません。
こちらが底砂上でヨコエビを食べまくるヤリテング。歩く姿も見れます。
そしてこちらは活ブラインシュリンプを食べる映像です。
飼育しているうちにすっかり覚えて、スポイトをパタパタと追いかけてきます。
やはり餌付けで馴れてくれると可愛いものです。
脱皮
脱皮…というと甲殻類や爬虫類を思い浮かべますが、魚にも脱皮するヤツがいるんです。
そう、ヤリテングは魚のクセに脱皮をします。そんなとこまでトカゲっぽいとは…。
これがヤリテングが脱いだ皮の一部。特徴的な大きなヒレの部分ですな。
全体の形状が残るような硬さはなく、薄く柔らかい膜状のものが剥がれるように脱皮します。
ヤリテングの脱皮を「環境が合わないため」と説明する方もいるようですが、私個人としてはそういったマイナス要素だとは思いません。元気に長期飼育している間も、ちょいちょい脱皮していますから。
まとめ
飼育難易度は高いですが、見ていて飽きることなく、非常に面白い『ヤリテング』
その独特なワイルド感溢れるルックス、クリクリと可愛い目、トコトコ歩く仕草、その全てが魅力的で、私が好きな海水生物ランキングでもトップ3に入っております。
しかし惜しまれるのは食性。手間がかかるところがまた可愛いのですが、長期飼育するには定期的な活き餌の供給が必要になり、それなりに経験や設備・環境も必要になってきます。ぶっちゃけ人にはオススメできません。
どうかショップで購入した際には、大事に手間と愛情をかけて飼育してあげて下さい。
ところで・・・
「ヤリテング」って深く考えるとすごい名前じゃないですか?「暴れん坊天狗」みたいで。
女泣かせっぽいというか、なんというか…。