「エアーポンプがうるさい!」おすすめの静かな水槽用ポンプは?
アクアリウムで必須となる飼育水への酸素供給。様々な方法がありますが、最もメジャーな方式としてエアレーション(いわゆるぶくぶく)があります。エアーポンプを使い、水槽内に設置したエアストーン等から泡を出す方法です。
エアレーションの方式などについては別項で触れるとして・・今回はエアーポンプ。特に駆動音に関して、実際に使用してみた製品の使用感なども交えながらお話したいと思います。
意外にうるさいエアーポンプの音
一般的なエアーポンプは電磁石の力でカップ状のゴムをパコパコと高速振動させる「ダイヤフラム方式」と呼ばれる仕組みで空気を送り出しています。
この際に
駆動音(ポンプ自体から発生する音)
振動・共鳴音(振動が伝わる事で発生する音・近くのものが共振して出す音)
気泡音(ぶくぶくぶく・・・と泡が出る音・水面ではじける音)
の3種類の騒音が発生してしまいます。
人それぞれ物事に好き嫌いがあるように、音に対する感じ方も人それぞれです。同じポンプでも「静かで良い!」と感じる方もいますし「うるせー!気になって眠れねェ!!」となってチューブ引っこ抜いて外にブン投げる方もいます。難しいですねぇ、人の感覚って。
ポンプも日々進化していますので、昔に比べればかなり静かになりました。しかしそのせいか、どの商品を見ても「静音設計」と表示されていたりするので、いったいどれがホントに静かなのよ・・となってしまったりもします。
まずは「エアーポンプがうるさい」と感じる場合によく使われる対処法などをご紹介します。
ブーーーーーーーン・・という駆動音
これ、私が最も嫌いな音です。頭に響いて頭痛がしてくるので、窓から川にブン投げたくなります(我が家の窓の外に川はありません)。
純粋に「騒音」としての音量が低ければ気にならない方もいますが、いくら音量そのものが静かでも、なんというか・・振動というか・・空気を伝わってくる周波数というか・・・そういうのが体質に合わなくてダメ、という方もいるかと思います。頭が重痛くなってくるの、わしだけ?
そういう特殊で敏感な場合は置いといて、とりあえず駆動音を緩和する方法としてよく聞くのが「タオルなどでくるむ」です。たしかにぐるぐる巻きにすると、多少静かになります。
さらに「タオルでぐるぐる巻きにしたうえ、箱に入れて密閉する」といった、発作的に殺してしまった恋人の死体を処理するような方法から、「スポンジなどの緩衝材で内張りした箱に入れる」などなど、様々な方法が使われるようです。私も試してみましたが、どうにも納得のいく効果は得られませんでした。
なお、ダイレクトにタオルでぐるぐる巻き・・は発生する熱がこもってしまうので私はオススメしません。もちろんすぐに燃えたり溶けたりする事はありませんが、ポンプの寿命を縮めてしまいます。
なんか響いているような気がする共鳴音
裏を見るとほとんどのポンプにゴム製の足がついていると思います。これで本体の振動を台面に伝えないようにしているのですが、完全に吸収することができない場合もあります。古いタイプのポンプでは、電源を入れるとぶぶぶぶぶぶぶい・・と少しづつ動いていったりもします(笑)
この振動を伝えないための方法としてポピュラーなのが「吊るす」です。
単純にヒモなどで吊るだけです。設置面との振動で音が出ていた場合には非常に効果があります。
吊るす場合は太めのヘアゴムを使用するのがオススメです。
ぶくぶく・・・・
最後の気泡音なのですが、これはエアーポンプには罪はありません。ブン投げるならポンプではなく、エアストーンです。
ちなみに私はこの音は全く苦にならない派で、むしろ涼しげで心地良いくらいです。しかし、ポンプよりもこれが気になるという方もいます。
これは消音というより音質を変えるしかありませんので、吐出口で対処しましょう。泡が大きくなると「ゴボゴボゴボ・・」といった音、目の細かいエアストーンを使うと「しゅわわわ・・・」と炭酸がはじけるような音になります。吐出量の少ないポンプで細かいストーンを使うと、ほぼ聞こえないレベルにはできます。
超個人的、製品使用感
実際に使用経験のあるエアーポンプで使用感をご紹介します。なお、感じ方には非常に個人差がありますので・・あくまでも私の感覚です。変人ですのでアテにならないかもしれません。
Suisaku 水心SSPP
王道中の王道、水作株式会社のSSPPシリーズです。
3モデルあり、吐出量は
SSPP-2S 3.5リットル/分
SSPP-3S 2.5リットル/分
SSPP-7S 2.0リットル/分
となっており、2Sと3Sには吐出量調整ダイヤルがついています。
ルックスは1世代前といったレトロな感じもしますが「グンをぬく静けさ」の表記は伊達ではありません。たしかに駆動音は他商品と比べて静かです。音の質としては、かなり低い感じ(音量ではなく音程)の静かな太い低音になります。
うーむ、音の質を文章で表現するのは難しいですね。ものすごい遠くをバッファローの群れが走っている感じです。余計にわからんですね。
吐出量の少ないモデルほど音は静かになりますが「3Sが最も静けさと性能のバランスが良い」という意見を多数聞きます。私も3Sを使用しています。
GEX e-AIR
弁当箱みたいな大きさのGEX e-AIRシリーズです。
6モデルがあり、吐出量は最小のe-AIR1000SBが0.8リットル/分。下位3モデルはシングル吐出口ですが、4000WBからダブルになり2リットル/分×2、最大モデルの9000FBは2.5リットル/分×4のバケモノです。
肝心の音ですが・・・なんというか、いたってノーマル。とてもうるさいというほどではないけれど、静かかと聞かれると悩む。。そんな感じです。
かなり長く使用していますが、当たりモノだったのか購入時と変わらぬ音量・音質で現在も稼動しています。
個人的には嫌いではありませんが、とにかく静かなポンプを求めているならばコレではないような気がします。
GEX シオン
GEXが「静音ならばコレ!」的な雰囲気で送り出してきているシオンシリーズです。
最小がS15の0.7リットル/分から、最大のW80の2リットル/分×2まで、5モデルあります。
これ・・私的には最大のクソポンプなんです。たしかに静音といえば静音なのですが・・・なんというか、音質がダメ。他のポンプよりも少し高めの音程で響くのが頭に合いませんでした。
しかも1ヶ月ほどの使用で音量アップ!ハズレ商品なのかと思い部品交換してみましたが、しばらくするとまた不快な音で音量アップ!!夜中にブン投げました。でもコイツ、めっちゃ頑丈で硬いのでビクともしません。
NISSO MUTE S
ポンプの音に悩まされた方なら一度は購入を考えたであろう、ニッソーのミュートS。
通常のポンプのようにゴムカップではなく、ピエゾ素子という電気信号によって伸縮する素材を使用。それにより一般のエアーポンプとは別モノとなっています。音量も別次元の静かさです。ほぼ振動しないので、足ゴムすら付いてません。
しかし残念なことに弱すぎる・・・。0.2リットル/分という吐出量では金魚鉢レベルです。現在はMUTE Dという吐出量が倍のタイプも発売されていますが、それでも0.4リットル/分。。。。
追記:現在は「MUTE DC」という0.6リットル/分の製品も発売されています。
いちおうメーカー発表では倍タイプのMUTE Dで40リットル水槽に対応となっています。飼育環境によってはアリな気もしますので「エアなんぞ多少出てれば良い!静かでコンパクトが良い!」という方ならば良いかもしれません。
ちなみに・・・手元にあるコレは、さほど使わないうちに「チーーー」という超高音のノイズが出るようになりました。わずかな音ですが、高音質がダメな私にとってはただの「エアの少ない、イライラする音のでるポンプ」になっています。
NISSO MUTE『S』と『D』を比較した記事はコチラ
キョーリン ハイブロー C-8000(追記)
2019年3月追記。悪魔の箱、キョーリンのハイブローC-8000です。
恐るべしはそのパワー。最大で8000cc/分の吐出量を誇るモンスターです(50Hz地域では最大6500ccとなります)
この大きさと吐出量を持ちながら、まさかの静音性という・・・「素早いデブ」のような製品です。
詳しくは別記事となりますので、そちらをご参照下さい・・・。
個人的にオススメなのは・・・
ベタな結論になりますが、私も一番のオススメはやはり水作の「水心」になります。低く響くような音質が大丈夫なのであれば、純粋な音量は一番小さく感じます。
これからもエアーポンプは進化していくと思いますが、もっとMUTEシリーズのように新たなチャレンジをする商品が出てきて欲しいですね。私が生きてる間に「ええっ!まだダイヤフラム式のポンプ使ってんの!?」てな感じの時代が来てくれることを願っています。
ギヤポンプとかネジポンプとかの方式で上手いこと作ってくれませんかねぇ。コトブキあたりで…。
追記
長い事「やっぱり水作の水心が一番だなぁ・・・」と思っていたのですが、その後心変わりしたために追記です。
製品紹介のほうにも追加してある「キョーリン ハイブロー C-8000」に魅せられ・・現在はC-8000以外のエアーポンプで使用しているのはニッソーのMUTEシリーズくらいです。
ヤバいですよ、コレ。詳しい説明は「静かで強力!『ハイブローC-8000』エアーポンプ評価」で書いておりますが、とにかく「静か」で「ハイパワー」です。
ちょっと値が張りますし、小型水槽にはハイスペックすぎますが・・・半端なエアーポンプを複数買うよりもおすすめですよ。