オールガラス水槽は水漏れする?注意点と寿命を延ばすコツ
その見た目の美しさから人気のオールガラス水槽(フレームレス水槽)。たしかに鑑賞用としては素敵なのですが、従来のフレーム水槽に比べると『寿命が短い』『水漏れする』『割れやすい』『蓋が水槽内に落ちる』といった声もあり、少々不安も。
今回は【オールガラス水槽くんと楽しく過ごすためのコツ】として、ちょっとした注意点やポイントをご紹介してみたいと思います。
注)呼称は「オールガラス水槽」「フレームレス水槽」「全面ガラス水槽」などイロイロありますが、文中では「オールガラス水槽」と統一して表記します。
水槽くん入場
…と、いう事で。早速登場していただきました。使用済み水槽では撮影しづらいので新品購入です。
こちらは『GEX グラステリア 600ST』
オールガラス水槽は各メーカーから様々な種類が販売されており、価格やガラスの色味・接着面の仕上げなどが微妙に違います。後ほど説明する大事なポイントである『蓋受け』も違いますので、購入の際はご注意を。
閲覧注意
『メーカーごと超々個人的な評価』
エーハイム:重い。ガラス色がクリアではない製品が多いのが気になる。
コトブキ:多少接着面に雑な感じがするものの概ね安心。しかし蓋のサイズが適当すぎる。
アクロシリーズ:ガラスが薄くて綺麗。価格も安くて軽い。しかしイロイロと脆い。
GEX:クリアで重量とのバランスも良し。蓋受けを変える必要がないので便利。
…というのが各製品に対する私の感想なのですが、あくまでも個人の戯言。感じ方は人それぞれですのでご注意を。
なお日々新製品も開発されていますので、製品によってはこの感想が当てはまらない場合もあります。
フレームレスは水漏れする?
あっちでもこっちでも漏れる漏れる言われているオールガラス水槽ですが、正しい使用方法を心がければ最近の製品はそう簡単に漏れるものではありません。
しかし、しっかりと上下&角にフレームの付いた水槽と違い、フレームレスの水槽は『水漏れが発生しやすい』というのも事実。
ただし原因が全て『製品そのものに問題がある』というわけではなく、使用者が気づかない間に水漏れの原因を作ってしまっている場合も。
まずは水漏れの原因になる『注意したいポイント』、その中でも大事な点をご説明いたします。
『余計な力をかけない』
まずは言うまでもない事ですが、フレーム有りに比べ、全面ガラスのフレームレス水槽は耐久性で劣ります。
もちろんぶつけたりするのは論外。特に角の部分はちょっとコツン…とやっただけなのに、あっさりヒビが入ったり欠けたりしますので丁寧に扱いましょう。
掃除の際に風呂場などに水槽を運んでいってシャワーで洗ったりする方もいるかと思いますが、できればあっちこっち持ち運ぶ事も避けたほうが良いです。
そして初期セッティング時など、持ち運ぶ際は『持つ場所』に注意。
握力のある男性がよくやってしまうこの持ち方。
もしくは挟むように両手で側面を持ったりしませんか?コレらはあまり好ましくない持ち方。
もちろん置いた状態の水槽の底に手をかける事はできませんので、移動するためには少し浮かせなければならないのですが・・・側面ガラスに過剰に力をかけてしまうと接着面に負担がかかります。
設置するまでに動かすのは仕方のない事ですので、セッティングするために持ったり動かしたりする場合は丁寧にやれば問題ありません。しかしメンテナンスのたびに持ち運ぶような使い方は避けたほうが良いです。
特に、中に水が入った状態(半分程度でも)で持ち上げたり動かしたりするのは厳禁。底ガラスの接着面に強い負担がかかります。
接着面に変な負荷がかかっていると、このように断面に気泡が発生してきます。こうなったら要注意。
水を入れてセッティングした後に「位置がちょっとズレてるな・・・」と、側面に手をかけてグイッと動かそうとするのもできれば避けたほうが良いです。
フレーム水槽に比べてフレームレス水槽は重量がある事が多いので、つい力を入れて「えいやっ」と持ち上げたり動かしたりしてしまいますが・・・できるだけ丁寧に扱ってあげましょう。
『隅にスクレーパーを当てない』
ガラス面の掃除道具はイロイロありますが…「スクレーパー」と呼ばれる硬いプラスチックのヘラのような製品があります。
こんな感じのものです。ガラス面をゴシゴシして掃除します。
フレームレス水槽の場合、隅の部分にこういったモノをガンガン当てるのは避けたほうが良いです。
ここです。商品にもよりますがスクレーパーはけっこうシャープなエッジになっていますので、接着面にガンガンやっていると水漏れの原因を作ってしまったり、水槽の寿命を縮める事になります。
『シール剥がし剤に注意!!』
水槽を購入すると、メーカーのラベルや保証シールなどがガラス面に貼ってあったりします。
そういったものは丁寧にやればノリ残りなく綺麗に剥がせる事が多いのですが、よくあるのが「ガラス蓋が水槽底面にセロハンテープで貼ってある」というケース。
これ、文句を言う方も多いですな。うむ、気持ちは非常によくわかります。たしかにやめていただきたい。
しかし貼ってあるものは仕方ありません。セロハンテープはノリが残りますので綺麗にしましょう。
・・・と、ここで注意!
市販の剥がし剤を使うと簡単にベタベタしたノリを取り除く事ができますが・・・くれぐれも他の部分につかないように。水槽隅のガラス接合面についてしまうと、シリコンを劣化させる原因になります。
個人的に最強シール剥がしだと思っている「雷神」ですが、こういったスプレータイプは非常に危険。
どんなタイプの処理剤でもガラス面に直接使うのではなく、布やティッシュに液を付け、丁寧にベタベタを剥がしましょう。その時は大丈夫でも、後々寿命を縮める原因になったりします。
ライターオイルでもノリ残りを除去できますが、こちらも同じく直接水槽にかけたりしないようにしましょう。
デリケートな水槽くんのために…
冒頭、全ての水漏れが「製品に原因があるとは言えない」と書きましたが、もちろん「全ての原因は使用者にある」とも決めつけられません。
どんなに丁寧に扱っても水漏れする水槽はあります。残念なことにハズレ水槽もたしかに存在します。稀ですけど。
しかし、自分でも気づかないうちに水漏れの原因を作っていながら「水漏れした!不良品だ!!」と大騒ぎするのもみっともない話。
できるだけ長くオールガラス水槽くんと遊び続けるために、ちょっと面倒ですが丁寧に気遣いしてあげましょう。繊細な子なんです。
ガラス蓋が落ちる!
オールガラス水槽で良く聞く「蓋が水槽内に落ちる!」という不満の声。
ショッピングサイトのレビューでも、ビギナーの方が「ガラスフタのサイズが合っていない」と文句を言ったりしていますが・・・オールガラス水槽は『水槽の幅よりも、フタの幅がけっこう短い』がデフォルト。フレームがないので側面ガラスに『フタ受け』を設置して乗せるようになります。
しかしこれがまた非常にアンバランスで、掃除の際などのやっぱりフタが水槽内に堕ちてしまったり(笑)
フタ受けとして多いのはこのタイプ。形状や材質はイロイロありますが理屈は同じで、水槽の側面(場合によっては前後面にも)に小さな引っ掛かりを作るやり方です。
このタイプはガラス蓋の落下が起きやすいうえ、フタ受けに染みた水で塩ダレを起こしたりするので私は使用しません。
個人的にオススメはこっちのタイプ。
GEXが採用している方式のフタ受けです。幅はイロイロあります。
このタイプですと、フタを持ち上げる時にもココに手をかける事ができるので楽に開ける事が可能。閉める時も同様にココを持って乗せるだけ。手を離した時に左右にズレる事もありません。
一般的なタイプのフタ受けにありがちな「エサをあげる時にちょっと前のほうだけ上げたら、スルンッと後ろに滑って水槽内に落下!」という事もありません。
海水水槽で隙間に飼育水が染みて塩ダレる事も少ないです。
幅のサイズだけでなくガラス蓋の厚さによって適合する種類が違うので、計測して適切なものを使用しましょう。コレはホントおすすめ。
必ずマットは敷こう!
そしてコレも大事なポイント。
たとえ完全な平面だとしても、ほんの小さな石が1粒あっただけで、そこに直接水槽を置いて水をいれればヒビが入ることもあります。
マットは必ず敷きましょう。
商品によっては片面がシールになっていて水槽の底に張り付けるタイプのものもあります。セットになっていたマットが気に入らない場合は別途購入しましょう。
あとがき
今回は「オールガラス水槽くんと楽しく過ごすためのコツ」として、いくつかご紹介させていただきました。
「こんなに細かい事まで気にしてられるか!」という方もいるかと思いますが・・・多少雑に扱っても大丈夫なフレーム水槽と違い、フレームレスの水槽はホントに些細な事が水漏れや破損の原因になったりもします。
遥か昔、初めてこの手のフレームレス・オールガラスの水槽が出たころは「見た目は良いが、すぐ漏れたり壊れたりする」というのが定説でした。しかし今は技術が進歩し、かなり丈夫になってきています。オールガラス水槽くんも成長しているようです。
せっかく綺麗な水槽なのですから、大事に扱って長く使い続けてあげましょう。