簡単5分!水槽用ディフューザーの自作・加工・改造方法
簡単にできる『ディフューザー』の自作・加工方法を紹介。エアーポンプを使用せずに酸素を豊富に供給できるディフューザーは、省エネかつ音も静かでとても便利なシステムです。
製品として吐出口などに取り付けるタイプなどが販売されていますが、ぶっちゃけ仕組みとコツさえ覚えてしまえば、あんなものは単なるホースが付いた筒。簡単に自作できますし、既存の製品を加工する事も可能なんです。
今回はそんなお話『ディフューザーのメリット・デメリット、そして自作加工の方法とコツ・必要な道具など…』になります。
追記)流水量が足りず、エアを吸い込まない場合の対処法を追記しました。
ディフューザーとは?
ディフューザーとはなんぞや?と思って検索してみても、上位に並ぶのはアロマディフューザーだの車のエアロパーツだの、アクアリウムとは全く関係のないものばかり。悔しいですが水槽遊びはまだまだマイナーな趣味のようです。
そんな我らが嗜むアクアリウムにおける『ディフューザー』とは…
『エアーポンプなどを使用せず、水の流れを利用して空気を取り込む仕組み』になります。
こちらはエーハイムから販売されているもの。濾過装置や水流ポンプの吐出口に取り付ける事になります。
これ以外にも各メーカーからアレコレと製品が出ており、『基本的に自社製品に取り付ける』という規格になっているものの、パイプ経が合えば他メーカーの製品に取り付ける事も可能。少々合わなくても加工次第で流用できます。
こんな製品もありました。
その名も『舞姫』!!なんですかこのネーミングは(笑)しかもBlackって…。(Whiteもあります)
まるで大人のグッズみたいな名前ですが「GEXコーナーパワーフィルター」に取り付ける製品となります。決して快感を得られるようなアイテムではありませんので、間違って股間に取り付けたりしないようにご注意下さい…。
メリット・デメリット
「早く簡単な作り方を教えろ!」と興奮している方もいるかもしれませんが、まずはディフューザーのメリットとデメリットを紹介させて下さい。興奮が収まらない方はとりあえず「舞姫Black(Whiteもあるよ!)」を股間に装着してみると良いですよ。
ディフューザーのメリット
- エアーポンプを使用しないので電気代いらず。みんな嫌いなポンプの駆動音も無し(後述するエア音はあり)
- エアチューブとストーンを入れる必要がないので、水槽内もスッキリ
- 泡が細かく、水流に混ざりあって見た目も良い。酸素を溶け込ませる効果も高い。
- エア量の調整も簡単(調整機能がない製品でも可能)
とにかく『エアーポンプを使用しない』というのが最大のメリットになります。24時間動き続けるエアーポンプは台数が増えるとけっこうな電気代になりますから。
エアストーンからまっすぐ上にぶくぶく浮上する泡と違い、水流に乗せて全体的に広がる泡は雰囲気も良く、酸素を溶け込ませる効果が高いうえにボコボコと大きな泡が弾けないので塩ダレも若干減ります(エア量や流れなどにもよる)。
エア量の調節に関しては自作の項でご説明します。
ディフューザーのデメリット
- エアを吹き出す音がする。ついでに吸い込む音もする
- それなりに水流を必要とするため、水流を嫌う生き物には不向き
エアーポンプを使用した場合の騒音に『ポンプの駆動音』と『エアストーンから空気が噴き出る音(&はじける音)』がありますが、ディフューザーも『吐出口から泡が噴き出る音』、そして『空気を吸い込む側の先端』からもシュオオ…と音を発します(音量としてはわずかです)
私はエアーポンプを使用するよりもよほど静かだと思いますが、音に関する感覚は人それぞれですので「エアポンプ使ってるほうが静かだった」と感じる方もいるかもしれません。
そしてディフューザーは水の流れで空気を巻き込みます。その性質上どうしても水流が起きますので、流れを激しく嫌う魚などには不向きです。
ディフューザーの自作&加工
自作大好きな皆様、お待たせしました。『5分で簡単!ディフューザーを自作加工する方法』のコーナーです。股間に装着した「舞姫Black(Whiteも忘れずに!)」は取り外して下さい。
最低限必要な道具は…
- 水流を発生させる装置
- エアチューブ
- 太さ5mmのドリル刃
- +α(電動ドリルなどがあればなお良し)
以上になります。
「水流を発生させる装置」というのは、水さえ流れりゃなんでも良いというわけではなく、『パイプの中を水が流れる構造を持つもの』になります。基本的には水流ポンプ(水流を起こすためだけのファン状のものではなく、給水と排水があるもの)や、外部フィルターなどです。
ただし応用次第では上部フィルターや外掛けフィルターにディフューザー加工を施す事も可能です。
ドリルは安い木工用のもので構いません。エアチューブはシリコン製の柔らかいタイプが最適です。
ではでは…まずは一例としてシャワーパイプに加工する場合でご説明を。
簡単自作ディフューザー・基本
まずはパイプに穴を開けます。
ここではパイプに対して垂直ではなく斜めにドリルを入れていますが、慣れないと大変ですので垂直でも構いません。そこは後ほどイラストでご説明します。
基本的にこの手の部品はプラスチックですので、頑張ればハンドドリルでも十分に穴あけ可能です。
次にエアチューブの先端を斜めにカットします。
この斜めが大事。普通に真っすぐカットしたのでは空気を巻き込みませんし、下手すりゃ水がチューブを逆流して大変な事になります。
先ほど開けた穴にエアチューブを差し込んだら…はい、完成。慣れれば3分もかかりません。
構造をイラストで説明すると…
このようになります。エアチューブを差し込む角度が垂直でも、カットが斜めであれば泡は巻き込みます。
なお穴の径を5mmとしたのは一般的なエアチューブが外径6mmのため。きっちりネジ込めば差し込んだ部分をボンド等で埋めなくとも大丈夫ですが、万が一抜けた場合を考えて埋めておくのも良いかと。
理想はこのような感じです↓
うーむ、泣きたくなるほど適当なイラストで申し訳ない…。ペイントでちゃちゃっと書きました。
経験上、このようにチューブを斜めに入れ、カット面を水の流れに対して直角にする形が最も効率よくエアを巻き込みます。ただし円筒形のパイプに斜めに穴を開けるのはコツが必要ですので、真っすぐ差し込むだけで良いと思いますよ。
ディフューザーを自作加工する場合に気を付けなればならない点は…
- 差し込んだエアチューブの先端(エアを吸い込む側)は水面よりも上に。水面より下でも空気は吸いますが、水流を止めた際に水が逆流して泣く事になります。
- 加工したパイプが水槽内の低い位置にあると空気を吸わない場合があります。できれば水面付近に加工部が来るようにしましょう。シャワーパイプなどであれば、水上に露出していても空気は吸い込みます。
- 『逆流防止弁』をエアチューブに取り付ける事で水の逆流は防げますが、製品によっては空気の吸い込みを悪くするので要注意。
簡単自作ディフューザー・応用
上の説明ではシャワーパイプに加工した写真を紹介しましたが、別にシャワーパイプに固執する必要はありません。細長い形状の部分であれば大抵ディフューザー化が可能になります。
ディフューザーの仕組みさえ理解できれば、独自の発想でアレコレとカスタマイズする事ができるわけです。
まずはさきほど出てきた『エア量の調整方法』ですが、コレは簡単。エアチューブの空気を吸い込む側先端にエアコックを取り付けるだけです。
こういった形の一方コックで十分ですが、二分岐や三分岐のコックでも代用は可能。なにかあった時には完全閉鎖もできるので便利です。
そしてディフューザー加工したいと思うパーツが短かったり厚かったり、もしくは製品に穴を開けたくないといった場合は…
じゃじゃん。このような『短いホースに同様の加工をしたもの』を取り付けてもOKなんです。
製作時間は20秒。『ホースをカット・エアチューブをカット・穴開けて突っ込む』で完成です。
あまりにも適当すぎるルックスですが…
効果はご覧のとおり。しっかり仕組みさえ知っていれば、こんな適当な工作でも市販のディフューザー同様の性能を発揮できます。ルックスはだいぶ見劣りしますけど…(汗)
これを間に挟む事で『吐出口』⇒『ホースディフューザー』⇒『シャワーパイプ等』といった形もできますので、全ての製品で穴を開ける事なく空気を巻き込むことも可能です。
見りゃわかりますが、本当にただのホースにエアチューブをぶっ刺しただけ。
ちなみにこの『どこでも簡単接続・短いホースディフューザー』は私が特許を取得しています。
…嘘です。特許など取っていませんので好きなだけマネして下さい。ホースは柔らかい物を使用し、差し込むエアチューブはできるだけ硬いタイプが良いですよ。
どこでも接続できるという特徴をさらに応用すれば、こんな使い方もできます。
これは私の水槽の1つなのですが…底面濾過をエーハイムコンパクトオン600で吸い上げて濾過装置としています。その排水側先端ではなく、吸水側にディフューザーを挟んで接続しています。
こちら側(給水側)に接続する場合、ダイレクトに吸わせると空気が多すぎて大変な事になり、ポンプにも負担をかけますので…先ほど紹介したエアコックでの吸い込み量調整は必須。ポンプの流水量にもよりますが、コックをかなり絞ってほんのちょっとの空気を混ぜる程度でベストです。
吸い込んだ空気がポンプのインペラーで撹拌される事で、まるでミスト(水中ですが…)のような非常に細かい泡を吹き出す事ができ、気泡の粒が水面で弾けるハネも防ぐ事ができます。
注)この『ポンプ吸水側にエアを巻き込む』というやり方はトリッキーな魔改造ですので、メーカー側で想定している使用方法ではありません。私はエア量を制限する事で長期間快適に使用できていますが、試す場合は自己責任にてお願い致します。
エアを吸わない時は?
あれれ?説明通りに作ったのに、全然エアを巻き込まないぞ。なぜ?
…となった場合の原因ですが、大半は『水流不足』になります。
ディフューザー加工するパイプ(またはホース)の径に対し、流水量が少ないと上手く空気を吸い込みません。
径が太ければ太いほど流水量が必要となり、あくまでもおおよその目安ですが…パイプ(ホース)の内径が1.5cmならば流水量は500L/hは欲しいところ。400L/h以下ではほぼ空気を吸いません。
「そんなに流量ないよ!濾過装置(もしくはポンプ)を買い替えなきゃダメなのかよ!」
…と半ギレになった方、大丈夫です。そういう場合もちょっとした工夫で自作ディフューザー化は可能です。
厳密には『流水量』ではなく『流れる水の速度』が大事なのです。
ちょっと違いがわかりづらいかもしれませんが、さきほどは『パイプよりも太いホース』を使用したのに対し、コレは『パイプよりも細いホース』を同様に加工してパイプ内に差し込んでいます。
流水量が変わらなくとも、このように吐出口を細くすることで水の速度を速めることが可能です。庭に水撒きする時にホースの先っちょをつまんでプシャーッ!とするアレですな。
「水鉄砲は先が細いほどよく飛ぶ」の原理です。
パイプの外径に合わせたホースではエアを吸い込まなかった吐出口も、内径に合わせて細いホースを差し込むことでエアを吐き出すようになりました。
もしこの方法でも水の速度が足りないと感じたら…
じゃじゃん。このように『吐出口』→『内径に合わせたホース』→『さらにその内径に合わせた細いホース』と、二段階に差し込む事でさらに水の速度を加速させることが可能。
この二段式ほっそりディフューザーを使えば、安くて流量が少ないポンプでもガンガンに空気を吐き出してくれるようになります。
ただし「吹き出す水が加速する=水槽内の水流が激しくなる」ですので、そのあたりは上手に利用して下さい。
水槽ディフューザー自作方法
あとがき
これは短いシャワーパイプをディフューザー加工し、エアを目一杯吸い込ませた様子。
どうですか奥さん、ちょちょっと穴に差し込むだけで、こんなに大量のエアーを発生させることもできるんですよ。旦那さんの若い頃よりもスゴいでしょう?
こんなに簡単に作れてしまうと千円以上かけて純正ディフューザーを買うのがアホらしく感じてしまいますが、やはりルックスは不格好になりますので…オシャレなアクアリストを目指している方は『舞姫Black(Whiteもあるってば!)』を購入しても良いのではないかと。
ちなみによく似ていますが『泡姫』はソープ嬢を指す言葉です。くれぐれもショップに行って「すいません、泡姫どこですか?」などと質問しないように。困った顔をされるか、もしくは最寄りの風俗街を紹介されてしまいますぞ。