『マリンアクアリウム(海水水槽)の専門用語』一覧
ちょっとコアな趣味でもある水槽遊び。
始めたばかりの方にとっては見るもの聞くこと全て初めての事ばかりです。非常に楽しい時期ではありますが、意味のわからない単語もあることでしょう。私もそうでした。
…という事で。
今回は『アクアリウムで使われる専門用語・単語、その意味と戯言』を50音順に並べつつご紹介してみようかと…。
初歩的かつざっくりな内容になりますので「こんな初心者レベルの内容を書き並べてドヤ顔すんなー」と感じた方は・・・ご自慢の水槽のLED照明をスペクトル計測でもしてて下さい。
なお基本的に海水水槽での用語になりますが、淡水と共通する語も多くあります。
ア行
赤ゴケ
実際にはコケではなく珪藻類。水槽内に発生する赤い藻類を指します。
俗称のため人によって定義が違い、べっとりと付く赤いシアノバクテリアだけを指す人もいれば、赤けりゃ全部赤ゴケ!という人もいます。
除去する薬品も販売されていますが、なかなか危険なシロモノでもあります。
アクアテラリウム
『アクアリウム(水中)』+『テラリウム(陸上)』という事で、水中の生物と陸上の生物を飼育する楽しみ方です。
基本的に淡水で楽しむもので、陸地は生物を飼育せずに植物を植えているだけの場合が多いです。
海水でやる方もいますが、どう見ても『うーん、水面に岩とかが飛び出してるだけだよね…』という見た目になりがち。やはり淡水の自由度には勝てません。
私もどうにか陸地を作ろうとしたことがありますが、試作品は失敗に終わりました。いずれ改良型を製作し、マングローブを植えてやろうと画策しています。
ウッドストーン
ウッドなのにストーンとはこれ如何に。『木製のエアストーン』の事を指します。
だったら『エアウッド』なのでは…とか思ったら負けです。
非常に細かい泡が出る事が特徴で、エア式のプロテインスキマーによく用いられます。
通常のエアストーンに比べて劣化は早くなります。
カ行
カーリー
海水水槽を始めたビギナーが、まず最初に過剰反応してしまう単語と言ってもよい『カーリー』
イソギンチャクの一種で、生体購入時やライブロック購入時などに水槽内に混入する可能性があります。
非常に繁殖力があり生命力も強いため、一度発生してしまうと駆除は困難。水槽崩壊に繋がる危険なイソギンチャクです・・・・というネット情報に踊らされて、夜も眠れないビギナーは数知れず。
しかし海水水槽遊びをしていればいつかは出会う相手であり、正しく対処すれば全く問題になりません。
なお、正式名称は実は『セイタカイソギンチャク』(英名:アイプタシア)であり、『カーリー』は誤用が広まってしまったもの。別種のイソギンチャクの名前です。本物のカーリーにとっては風評被害です。
吸着濾過
活性炭などを用いて、有害物質を取り除く事。
淡水ではメジャーですが、海水でも用いられます。
ただし『限界まで吸着した濾材は、それ以降は逆に有害物質を吐き出す事になる』という特徴もありますので、使用する際には定期的に交換しましょう。私は使ってません。
クリル
基本的には乾燥エビ(オキアミ等)の事を指します。魚の餌です。
…が、乾燥ではなく冷凍のものや生のものも『クリル』と呼びます。
パスタに入っていたりピザに乗っていたりするのは『クリル』とは呼びません。たぶん。
サ行
サンプ
メイン水槽とは別の水槽の事。
主にオーバーフロー水槽の濾過槽部分(下にある水槽)の事をこう呼んだりします。
メイン水槽と繋がっている場合はサンプと呼びますが、予備で回している個別の水槽の事を『サンプ水槽』とは呼ばないので注意。
スカベンジャー
なんですか、カッコ良い呼び名だなぁ。
いろいろな場所で使用される単語ですが、アクアリウムでは水槽内の『残り餌』や『死骸』を処理してくれる生き物の事をこう呼びます。
しかし水槽掃除を怠けようとしてスカベンジャーを入れすぎると、それだけでバカみたいに水質を悪化させる原因になったりするので注意。
生物濾過
バクテリアの働きによって、水中の有害な物質を無害なものに変えてもらう事。
マリンアクアリウムにおいては、最も大事な濾過になります。
石灰藻
ライブロック表面などに付着している、石灰質を含んだ藻類のこと。
赤や紫だけが石灰藻というわけではなく、クリーム色などもあります。
マリンアクア初心者の頃などは、過剰に石灰藻にこだわりすぎる傾向性がありますが・・・決して『石灰藻が多い=ライブロックとして性能が高い』というわけではなく、そのライブロックが置かれていた環境の判断材料とするのが良いかと。
飼育水槽でも、良好な環境を維持できればどんどん石灰藻が増えていきます。
ただし、石灰藻に覆われすぎたライブロックは見た目は良いものの、むしろ濾過能力が低下しますので注意。理想はライブロックの1/3が色づく程度です。
なお『せっかいそう』と読むのが正しいようですが、『せっかいも』と読む人も多いです。
タ行
タンクメイト
主役となる魚と同じ水槽に入れる脇役。いわば同居人です。
甲殻類や貝類の事を指す場合が多いですが、魚類でもタンクメイトと呼んでかまいません。
同棲している彼女や奥さんの事を『タンクメイト』とか呼ぶのはやめましょう。お小遣いが減ったり、晩のオカズが減ったりします。
デトリタス
水槽内に溜まる有機性の堆積物のこと。人間の目から見ると汚いゴミ。
デトリタス食と呼ばれる食性を持つ生物もおり、それらは最終分解者とも呼ばれる。
みんな大好きクモヒトデはデトリタス食。しかし人工餌に餌付けるとそればっかり食べるようになるので、うちのクモヒトデ達はデトリタス食とは呼べません。
ハ行
ベアタンク
底砂を入れず、水槽そのままの底面で飼育することです。
淡水・海水問わず用いられ、飼育する魚の種類によっては『底砂を入れずにベアタンクで飼育したほうが良い』という場合もあります。(例・ハリセンボンなど)
・底に落ちたエサを食べる魚などは、食べ残しも減る。
・微生物やバクテリアの生活域が減るため、生物濾過能力が落ちる。
パイロットフィッシュ
基本としては『水槽立ち上げ時、バクテリアの繁殖を促すために入れる魚』になり、魚類ではなくヤドカリなどの甲殻類を用いる方もいます。
餌を食べてフンをしてもらう事で、バクテリアにエサを供給する…という目的で使用します。
その用途から、安価で劣悪な環境に強い丈夫な種が使用されますが…飼育に適していない環境に生き物を投入するため、賛否両論ある手法です。
なお、同じく「パイロットフィッシュ」と呼ばれる魚でも、淡水高級魚を飼育する際に用いられるものは別。上記とは逆に『メインの魚に食べられる事なく、なおかつ環境変化に敏感な魚』をメインの魚と混泳させます。
予想外の水質変化や機器の故障などがあった際、パイロットフィッシュが死ぬ事で異変に気付き、高級魚を守る…というわけです。鉱山のカナリアのようなもので、こちらも賛否両論あります。
なおこの『パイロット』は『物事を正しい方向に導く水先案内人』という意味で、「アム〇いきまーす!」とかのパイロットとはちょっと意味合いが違います。空は飛びません。
物理濾過
フィルターなどでゴミや汚れを取り除く事。
濾過の中では最も目に見えてわかりやすいので、これを重要視したくなる気持ちはわかります。
プランクトンフィーダー
微生物を食べて生きる種の事。
海水魚ではこの食性の生物は多く、人工餌に餌付きづらい種も多いため…飼育難易度が高い場合があります。
代表的なプランクトンフィーダーとしては、マンダリン系やテグリ系など。
こういった種類の生物にはブラインシュリンプが救世主となります。
ブリード(⇔ワイルド)
『ワイルド』と対で使用される用語で、人工的に繁殖・養殖された生体の事を指します。
淡水魚であればブリード種も多く販売されていますが、海水魚はほとんどがワイルド。
海水ではクマノミとタツノオトシゴがブリードとしてお目にかかりやすい生き物になります。
通のフリして、お寿司屋さんで『大将!このハマチ、ワイルド?それともブリード?』とか聞くのはやめましょう。そういう使い方をする単語ではありません。
プロテインスキマー
飼育水からタンパク質(プロテイン)を除去するための装置です。
飼育水の汚れでもあるタンパク質は、バクテリアの働きによって『タンパク質→亜硝酸→硝酸塩→…』と分解されていきます(生物濾過)。
魚類には硝酸塩はほぼ無害なのですが、サンゴにとっては大敵。ならば分解される前に除去してしまおう!というわけです。
ベンチュリー、エアリフト、ダウンドラフトなどの方式があり、サンゴ水槽だけではなく海水魚水槽での水質維持に使用する方も多くいます。
ベルリンシステム
詳しい理屈を説明すると非常に小難しくなるシステム。ざっくり言うとプロテインスキマーとカルシウムリアクター、ライブロックと底砂を利用し、濾過槽を用いずに水質を管理する方式です。
もともとは水道水をそのまま水槽に使う事ができないヨーロッパで「できるだけ水換えをせずに済む方法」として考案されたものですが、現在は優れた水質管理方法として日本国内でも用いられています。
『ベルリン』と聞いたら『赤い雨』と連想してしまう方は私と同年代です。
ベントス
底生生物。ハゼ類などが代表です。
広い意味ではナマコやヤドカリもベントスになります。
マ行
マスキング剤
塩素中和剤と混同される事がありますが、あちらがそのまま『塩素を中和する』のに対し、こちらは『重金属類を中和する』となります。用途が別ですのでお間違えないように。
メタハラ
メタルハライドランプの略で、水槽照明の種類の1つです。
強烈に明るいため、一昔前は『ミドリイシ(サンゴの一種)やるならメタハラ一択っしょ!』という風潮でしたが、LED電球の進化によって徐々に窓際に追いやられてきました。…が、いまだに信者の多い商品です。
『セクハラ』はセクシャルハラスメント(性的な理由で苦痛を与える事)、『パワハラ』はパワーハラスメント(地位や立場を用いて苦痛を与える事)、ですので『メタハラ』はメタルハラスメント(金属を用いて苦痛を与える事)の意味もあります。
ええ、もちろん嘘です。
ラ行
ライブロック
ただの石のクセに1キロ2000円とか2500円とかする、マリンアクアリウムに興味がない人にとっては理解しがたい石。
しかし実は石ではなく、その正体は死んだサンゴの骨格。中に微生物がたくさん生きている、まさに生きた石なのです。決して高くありません。
たまにカッコつけて『LB』とか略す人がいますが、ライ・ブロックではなくライブ・ロック(Live Rock)。通ぶったつもりがバカを晒しているだけなので、素直にカタカナで呼びましょう。
なおネット通販などで『海中の石に石灰藻や海藻が付着しているもの』を『ライブロック』として販売している方もいますが、ただの石です。ライブロックとしての効果はほぼありません。騙されないように。
リセット
ゲームでお馴染み『リセット』、敵にやられちゃったらリセット、良いアイテムが出なかったらリセット、ガチャで星3しか出なかったからリセット、です。
アクアリウムにおいては『いったんぜーんぶ綺麗に、イチから水槽を立ち上げる事』になります。
リフジウム
オーバーフロー水槽の濾過槽や、メインと連結した水槽、メイン水槽内に隔離したスペースなどで『海藻をもしゃもしゃ繁殖させる水槽』になります。
純粋にエサとしての海藻を生育させるだけでなく、ヨコエビなどの微生物を隔離しておくためにも用いられます。
海藻は硝酸塩を吸収してくれるので、水質の安定化にも繋がります。
なお独立した水槽で海藻だけ入れている場合は『リフジウム』とは呼びません。それはただの『海藻水槽』です。
ワ行
ワイルド(⇔ブリード)
『ブリード』と対になる単語で、こちらは野生採取された生体の事を指します。
ブリードの項でも書きましたが、販売されている海水魚はほとんどがワイルドになります。
通のフリしてお寿司屋さんで『やっぱりハマチはワイルドに限るよね!』とか言うのはやめましょう。バカだと思われます。
アルファベット
RO水
上のようなRO浄水器によって不純物を取り除いた水の事。
ほぼ純水の状態となり、生物に必要な微量元素も含まれていないため、水質調整剤・添加剤を使用するのが基本になります。
淡水水槽でもディスカス飼育などに用いられることがあります。
SP
ショップのプライスカードなどに『〇〇〇SP』と書かれていた場合、それは『〇〇〇種』という意味になります。
区分が複雑だったり紛らわしかったりする種に用いられ、『〇〇〇の一種だけど、厳密にはわからんよ』という事です。
なお『SP』とは『species』(種の意)の略であって、『special』(特別)ではありません。
決して『うお!クマノミスペシャル!?こいつは特別なヤツか!?』とか思ってはいけません。必殺技も使えませんし、ニモでファインディングしたりもしません。
マリンアクアリウム用語・あとがき
私が海水水槽で遊び始めた頃は現在のようにインターネットが普及していなかったため、存在すら知らないモノも多々ありました。
今は便利で良いですねぇ。
しかしあまりにも簡単に情報を発信できるため、中には流言じみた内容も多々あります。
そういったものに踊らされると、知識だけは知ったつもりになっている『頭でっかちアクアリスト』の出来上がり。AVの見すぎで変な知識だけ膨大に詰まっている、童貞野郎みたいなもんです。
まずは頑張って彼女を作りましょう。そして実践です。AVではものすごく女優さんが喜んでいたテクニックでも、実際にやるとドン引きされるような危険なプレイもありますよ!
…とか言いつつ、私も海水水槽遊びをするうえで、ネット情報は非常に助かっているんですけどね…(汗)
※)項目は思いついた時に随時追加します。コレを入れたほうが良いよ!という単語がありましたら、コメントなどでお寄せ下さい。
ベルリンの赤い雨笑笑。水質はブロッケンJrにお任せですね笑。
目からウロコ(海水魚だけに)なまとめお疲れ様でした!
マロンさんも同年代男子の可能性大ですな…(笑)
普段当たり前に使っている単語を改めてアクア用語として意識するのは、自分でも意外と楽しめました。